銅メダル獲得で歴代メダル獲得数史上タイ! されど傷だらけの72kg級・浜口京子

sinkai

 北京五輪での銅メダルに引き続き、10月13日に行われた東京世界選手権でも3位入賞を果たした浜口京子(ジャパンビバレッジ)。だが大会10日前に右ヒジ負傷、軽度の肉離れまで起こし、「試合ができる状態ではなかった」と全試合終了後に報道陣に告白した。

 一回戦の相手はステファニー・リー(アメリカ)。第1ピリオドが0-0。ボールピックアップの優先権はステファニーとなり、タックルを決められ、第1ピリオドを取られるという不安のスタートとなった。だが、世界選手権で五度の優勝、準優勝が二度、3位一度、アテネ&北京五輪で連続銅メダルという実績と地元・東京開催の意地が浜口を奮い立たせた。第2ピリオドではフォールを奪って貫禄をみせた。  

 二回戦のナタリア・シンカロワ(ポーランド)との試合も苦戦はしたが、勝ち上がって準決勝へ。ところが準決勝で浜口のいつもの動きが見られなかった。洪雁(中国)に得意の崩しができない。これもケガの影響であったことが、後の浜口のコメントで発覚した。タックルもことごとく切られ、浜口は準決勝敗退で3位決定戦へ。午前の部で3試合終え、3位決定戦は19時過ぎに行なわれる。北京五輪の時と同様、どのように気持ちを切り替えられるかが課題だった。「北京五輪の時よりも落ち着いていました」と浜口は語ったものの、オチルバト・ブルマー(モンゴル)にも先制点を奪われ、第1ピリオドを取られた。やはり、浜口本来の動きではなかった。それでも浜口は意地で第2&3ピリオドを制し、銅メダルを獲得した。この時点で日本勢の全7階級メダル制覇が達成した。

■浜口京子のコメント

「ありがとうございました。19歳の時に初めて世界チャンピオンになった時に、会場に『YMCA』が流れたんです。同じ曲が流れてうれしかった。なかなか出てこなかったのですが、あの時と同じように父に出て来てもらって肩車してもらいました。格闘技の神様が私に微笑んでくれたので勝つことができました。

 北京五輪が終わって正直言って世界選手権のことまで考えていなかったので、メダルが獲得できてホッとしています。正直に言いますと、今朝起きた時点でまったく試合をするモチベーションではありませんでした。でも、15歳でレスリングを始めて15年間辛かったことなどを思い出していたら、自分を落ち着かせることができました。今までもケガして試合に臨んだこともありますが、今回のケガが一番辛かったです。

 これからのことは自分の気持ちと相談したいので、北京五輪と世界選手権の精神的な疲れと肉体的な疲れを取るために、ゆっくり休みたいです。世界選手権と五輪を合わせたメダルの数が9個で歴代タイ記録ですか? 今初めて知りました。非常に光栄なことです」

(文/三次敏之 撮影/矢吹健夫)



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