【特集】女性ならではの優しさを生かして、チームを牽引! クラブチームNO1のGOLD KID'S【2008年7月28日】






 約1600人ものキッズ選手が参加して今夏も大盛況だった全国少年少女選手権。ことしから団体戦の表彰部門が廃止となり、個人表彰のみとなったが、事実上の”団体優勝”は、男女107階級中9階級で優勝を成し遂げた昨年の覇者GOLD KID'S(東京)だった。設立わずか3年。しかも常設マットがないクラブチームが“最強クラブ”の名を手に入れた。

 クラブの代表は1990年代前半に2度世界チャンピオンに輝き、一時代を築いた成国(旧姓飯島)晶子さん
(左写真=教え子とともに)。名門・吹田市民教室を抑えて今年も“団体優勝”を飾り、成国代表も終始笑顔だったが、「去年は13人優勝だったんです」と、今年が去年以下だったことを明かした。それでも優勝9人、2位8人、3位4人と計21人が表彰台に立った驚異的強さは十分な結果だ。

 GOLD KID'Sは都内に4箇所の拠点を持っており、生徒数は約60人。小学校の体育館などを時間制で借りて練習を重ねている。「私の車に常にキャンバスがあって、みんなでマットの設営から毎日やるの」と成国代表が話すように、常駐のマット場はない。「(環境は)日本一恵まれてないクラブチームかも」と苦笑する。しかし、成国代表の指導を受けたいために山梨から週末通ってくる選手もいるほどチームの評価は高い。その人気の秘密は、やはり指導者の成国代表だろう。

■女性が代表を務めるクラブチーム

 キッズの試合は、ある意味でシニアより熱気が漂っている。キッズながら、時に“鉄拳制裁”のクラブチームは多数ある。厳しさに堪えながらも、試合で負けてしまうと、シニアの選手よりも悔しさをあらわにして泣き出す選手も多い。

 だが、GOLD KID'Sのスタイルはそれとは正反対のようだ。「私は怒ることはしません。楽しくレスリングを指導しています」。同クラブにコーチとして参加している日体大出身の元学生チャンピオンの藤山慎平さんも「怒らなくてもみんな練習をきっちりしています。できないことをできるようにしているだけですよ」と話し、“辛く厳しい”クラブの面影はどこにもない。レスリングの練習は辛いものではなく楽しいもの−。成国マジックが厳しさを楽しさに変えて、子供たちは素直にすくすくと成長を遂げているようだ。
 
 さらに違うところは、女性が代表を務めているというところ。実際、GOLD KID'Sに通う生徒の6割がなんと女の子だ。今大会、小学校6年+45s級でJOCアカデミーの選手を破って2連覇を達成した木澤早織選手
(右写真)は「女の先生だから安心感がある」と、同性でかつ優しさにあふれている成国代表に大きな信頼を寄せているようだ。

 世界を制した成国代表の指導者としての目標は「今の教え子たちが全日本選手権の決勝戦で戦うこと」。近い将来、GOLD KID'Sがレスリングの“虎の穴”と呼ばれる日が来るかもしれない。

(文・撮影=増渕由気子)


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