【特集】春の王者・京都八幡は、1階級優勝ながらも不完全燃焼の夏【2008年8月5日】






 今年3月の全国高校選抜大会の学校対抗戦決勝で霞ヶ浦を破り、その名を一躍全国にとどろかせた京都・京都八幡は、学校対抗戦では準決勝で花咲徳栄(埼玉)に敗れて3位。個人戦では60kg級の田中幸太郎が決勝で不覚を喫し、74kg級の北村公平のみが優勝という成績。春夏連覇と個人戦2階級優勝の目標を持って埼玉に乗り込んできた浅井努監督は「悔しいですね」と残念そうだ。

 全国一になったあと、部員は「次はインターハイの団体優勝だ!」という気持ちで団結しており、気持ちのゆるみは見られなかったという。それだけに、昨年王者の田中を優勝させられなかったことに無念の表情がにじみ、「(自分が)教え切れなかったのかな…」と言う。

 田中は第1ピリオド、ローシングル(低い片脚タックル)で攻めたところを返されて痛恨のポイントを失った
(右写真=青が田中)。「攻めて負けたのだから…」と慰めてもおかしくないところだが、浅井監督は「組み手が駄目で、崩しがしっかりできていなかったら返された。詰めの甘さがある」と説明。ポイントを失うのは、失うだけの理由があるのであり、褒められる失点などない。このあたりをどう克服していくか。

 「内容的には負けてはいなかった。国体へ向けて頑張らせたい」。今年は春(負傷で棄権)、夏ともタイトルを手にできなかった昨年の三冠王者の巻き返しなるか。

■「カッコいいから」と3点タックルに固執する北村公平

 一方、2年生にして春夏優勝の快挙を達成した北村は、準々決勝の亀井竜昇(大分・日本文理大付)戦で第1ピリオドを落とす試合をやってしまったが、他の試合はフォールか2−0の圧勝続き。決勝の長谷川公俊(茨城・鹿島学園)戦の第1ピリオドもリードされる局面があったが、豪快なタックルで逆転し、第2ピリオドもタックルを決めて6−0でテクニカルフォール勝ちした。

 4階級が同時に行われる決勝戦。軽量4階級の決勝でチームの先輩のの田中のほか、網野高校2選手も敗れるという結果だった。「落ち込みそうにもなりましたけど、先輩の分も、京都の分も頑張らなければと思いました」と気力を奮い立たせて上がった決勝のマット。

 チャンスをつかむと一気にフォールを目指す姿勢が何度もうかがえた。「優勝だけじゃなく、最優秀選手賞を取りたかったんですよ。ですからフォールを狙っていたんです」とのことで、単に勝つだけではなく圧勝優勝を目指していた。持ち上げるタックルにこだわるのは「返し技が怖いから」という理由と、「持ち上げるタックルの方がカッコいいでしょ。どうせ勝つならカッコよく勝った方がいい」とにっこり。余裕十分の優勝だった
(左写真=決勝で持ち上げタックルを2度決めた)

 このあと、9月末の大分国体で三冠王を目指す。「2ヶ月もあれば、どう変わるか分からないので油断できない。選抜の優勝をなしにここまで頑張ってきたのと同じで、直すところをしっかり直して頑張りたい」と結んだ。

(文・撮影=樋口郁夫)


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