【特集】伊調姉妹の兄・寿行さんインタビュー【2008年8月18日】
――お兄さんの目から見た今回のオリンピックは?
伊調 2人で4年間がんばってきたんです。馨は金をとって、2人の力で金を取ったなと。その辺は良かったと思う。とりあえず、結果は満足というか、2人ともよく頑張ったと思う。千春には金メダル取らせたかったけど、勝負だからしょうがない。馨は昨日、相当落ち込んでいた。アテネのときと違って(試合日が)一日あいているんで余計に心配だった。
――馨選手の試合は?
伊調 執念っていうか、そういうのが見えた。やっぱり、それも千春のおかげなのかな。馨は千春が負けたというのがショックで気にするなといっても気にしてしまうよね。
――不利だったボールピックアップもこらえました。馨選手のすごいところは?
伊調 今日の馨はあんまり…。テクニック的にもダメだった。本当に執念ですよね、今日の勝ちは。
――試合前に何か言葉をかけましたか?
伊調 きのうメールで「千春もオレもついているから思いっきりやれよ」と伝えた。
――馨選手の涙の意味は何だと思いますか?
伊調 金メダルを取れた開放感だと思う。二人分の気持ちを背負って金メダルをとった。まだ4年後というのは考えられない。とりあえず休んで、レスリングを外から見てほしい。馨はポコっとやめてもいい感じのやつなので。(続けるかどうか)ちょっと分からないですね。
――なんと声をかけたいですか?
伊調 「お疲れ様」と言いたいだけ。
――千春選手は銀メダルで笑顔をみせていましたが。
伊調 4年間姉妹でがんばってきたわけですから。やることはやってきて、それで結果が銀だった。それで、スッキリしたということで笑顔が出てきたと思う。
――千春選手は「金メダルに見える」って言っていましたが。
伊調 僕も金メダルに見える。
――メルレニに勝ったことについて。
伊調 メルレニに勝った瞬間は、今まで見たことないくらいの喜びようでしたね。あの勝ちも相当です。今まで見た中で一番の勝ち。あれは執念。今回のオリンピックは二人の執念。ほんとよかったです。
(聞き手=増渕由気子)