【特集】ムジコフ・ボリス(山梨学院大)が連覇達成! フリーも優勝で目指すは完全制覇【2008年8月30日】




 全日本学生選手権の男子グレコローマンで、第1シードが次々と敗れていく中、120kg級はロシアからの留学生、ムジコフ・ボリス(山梨学院大)が第1シードの強さを見せつけて優勝。優勝者の中で唯一連覇を達成し、グレコローマンの優秀選手にも選ばれた。ムジコフは「優勝して良かった」と、来日してからの2年半、一からみっちり勉強してきた日本語でしっかりと喜びを表現した。

 北京五輪でも“最強”を見せつけたロシア。そのロシア出身のムジコフは、日本人にとってはケタ違いのパワーを持っている。そのため、一見するとライバル不在のように見えるが、ボリスは日本の中で確実に成長し続けていての優勝だ。それは良きライバルの影響が大きい。準決勝で今大会初めてポイントを失った相手は、7月の世界ジュニア選手権(トルコ)で日本のグレコローマンとして同大会初めてメダルを獲得した平川臣一(専大)だった。

 得意のローリングを出したところ、絞りが甘く、乗られてしまって逆にニアフォールの体勢に持っていかれてしまった。「失敗だった」と気を取り直し、第2ピリオドのスタンドで強烈な投げ技で逆転フォール(左写真)。決勝進出を決めた。

■フリースタイルでも激突するか、ムジコフ−荒木田

 荒木田進謙(専大)との決勝は、ローリングの絞りを確実に修正してきた。第1ピリオドはしっかり絞ってローリングを慣行。荒木田を3度も回してテクニカルフォールへ。しかし、第2、3ピリオドは「疲れてしまった」。第2ピリオドは失ってしまい、特に第3ピリオドはテクニカルポイントが互いにないまま、ボールピックアップで優先権を得たムジコフが勝利した格好になってしまった。

 第1ピリオドが最高の形だっただけに、もっと楽に勝ちたかったところだが、第2ピリオドに出した高速の胴タックルを、山梨学院大の下田正二郎部長は「最終的に荒木田選手にポイントを奪われたけど、あの技を出せたことはいいこと」と評価。30日から始まるフリースタイルにつながることを示唆した。

 荒木田はフリースタイルの全日本選抜王者で7月の世界ジュニア選手権もフリースタイルで3位に入賞している。その荒木田を倒すことがムジコフのモチベーションだ。「2年前に(フリースタイルで)負けているからね。(その負けは)悔しかった」。大会連覇の偉業は“リベンジマッチ”に勝利したことでうれしさは倍増だった。

 グレコローマンを制したムジコフは、まったく減量なしで大会に臨んでいる。そのため、フリースタイルの目標も「優勝」の二文字。フリースタイルは最大のライバルの荒木田の専門スタイルでもあり、2人がまた決勝の舞台で対戦する可能性が高い。「もちろん、勝つよ」。インカレながら、ロシア−日本の国際戦・第2戦の結末はいかに!?

(文・撮影=増渕由気子)


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