今秋までは休養を示唆。その後は?…アテネ五輪銅メダリスト・田南部力




 アテネ五輪男子フリースタイル55kg級で銅メダルを取った田南部力選手(警視庁、29歳)は1月25日、東京・国立スポーツ科学センターで行われている男子の全日本合宿を訪れて若手選手を指導。今後の進退について、「選手としてやりたい気持ちが出ている」としながらも、「ことしの世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)は外から見てみたい」と話し、10月までの選手復帰はないことを示唆した。

 田南部選手はアテネ五輪のあと、12月の天皇杯全日本選手権を欠場。現役引退は否定していたが、いろんなチームで指導しており、このまま指導者になることも考えられた。この日、「指導することで自分の欠点が見えてくる。自分のレスリングの完成度を高めるための期間」とその目的を話し、このまま指導する側にまわることは否定した。

 また、自分が引退することになった場合は、「松永(共広=全日本王者)に北京五輪で金メダルを取ってもらわなくてはならない」とし、全日本チームの指導には顔を出して技を伝授するという。

 世界選手権を外から見たうえで、新たな闘志が湧けばマットに戻ってくる可能性が高い。それは松永が好成績を残した時か、それとも、負けたままでいるステファン・アバス(米国=アテネ五輪銀メダル)やディルショド・マンスロフ(ウズベキスタン=2003年世界王者)が好成績を残した時か。田南部は後者の場合に、「そうなるかな…」と苦笑し、今年の世界選手権での結果によって、進路が決まりそうだ。

 いま現在の進退問題の結論は「現役を続ける、指導者になる、の双方に進めるように動いている」だ。最後に「充実した毎日をおくっています」と付け加えた。
(写真左=“後継者”松永共広を指導する田南部、写真右=松永とスパーリングする田南部)

 



《前ページへ戻る》