【特集】2大会連続優勝でも、どん欲にさらなる強さを求める松永共広


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◎ヤシャドク国際大会
 1回戦  ○[2−0(4-1,TF7-0)] Yang Jae Hoon(韓国)
 2回戦  ○[2−0(5-0,1-0)] Asgahhan Novruzov(アゼルバイジャン)
 準決勝 ○[2−0(1-0,5-2)] Vusal Axundov(アゼルバイジャン)
 決  勝 ○[2−0(1-0,1-0)] Namid Sevdimov(アゼルバイジャン)

◎ダン・コロフ国際大会
 1回戦  ○[フォール、2P0:54] Berguia Anoha(フランス)
 2回戦  ○[2−0(2-0,2-0)] Amzah(フランス)
 準決勝 ○[2−0(TF6-0=1:55,3-3)] Yosefi Magid(イラン)
 決  勝 ○[2−1(1-0,0-1,2-0)] Besik Gochashivili(グルジア)


 アテネ五輪銅メダリストの田南部力に続く選手として期待されている松永共広(ALSOK綜合警備保障)が、全日本チームのスタートとなる遠征で2大会連続優勝を達成。世界選手権でのメダル獲得をも期待させてくれそうな快挙を達成した。打倒田南部を目指して培われた実力は本物だった。

 最初のヤシャドク国際大会で左ひざのじん帯を伸ばしてしまい、ソフィアに来てからの練習は思い切ってできなかったという。しかし、この遠征の目的を「試合に勝つこと」においていたので、100%の力で練習できなくとも焦りはなく、ダン・コロフ国際大会に照準をおいて調整してきたという。やみくもに練習するのではなく、目的を定め、それに向けた練習ができるあたりに、選手としての成熟度が感じられる。

 連続優勝したものの、世界選手権でメダルを取ったような選手はいなかったので、手放しの喜びようではない。「これくらいの選手間の大会では、優勝するのが当りまえ?」の問いに、「まあ、そうですね」と微笑みながら、「やはり旧ソ連の選手が出ている大会で優勝してこそ、本当に力がついたと言えると思います」と、気をゆるめない。

 試合内容も、ダン・コロフ国際大会の決勝戦で1ピリオドを取られた以外は、フォールか2−0での快勝だった。それでも満足はしていない。ポイントを何点か取られているからだ。「確実に勝つにはポイントをやらないこと。カウンターを受けたり、足をさわらせたりしてしまったので、これを直していきたい」と、どん欲に強さを求めている。

 田南部の壁をあと一歩で乗り越えられなかったため、まだ世界選手権の出場はないが、03年世界学生選手権で優勝するなど、世界で勝つすべは経験してきている。今年から1日で1回戦から決勝までを行うようにルールが変わったので、世界選手権の場合は1日に5試合、場合によっては6試合を勝ち抜く体力も必要となる。それの経験はできなかったが、「4試合なら何ということはないですね。途中で休みも入るし、2ピリオドで終わる試合もあって体力を温存できますし」と、特に問題はなさそうだ。

 世界選手権の前にアジア選手権がある(5月、中国)。イラン、そして旧ソ連のカザフスタンやウズベキスタンの選手の間でどういった成績を残せるかに注目したい。


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