【特集】落ち着いたレスリングで世界V3を…55kg級・吉田沙保里



(撮影:矢吹建夫)

 アテネ五輪55kg級金メダリストの吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)が貫禄の4連覇を達成し、優秀選手賞に選ばれた。五輪女王は、世界選手権(9月、ハンガリー)での3連覇を高らかに宣言した。

 この大会から、中京女子大から綜合警備保障にユニホームを変え、同社女性社員の大声援を浴びてマットに登場。学生時代とは一味違う入場シーンとなったが、そのパフォーマンスは相変わらず抜群の一言に尽きた。

 決勝は、全日本選手権に続いて期待の若手、松川知華子との対戦。「相手がタックルを警戒して下がるので、タックルにいってかわされると困ると思った」との言葉通り、まずは場外へ飛び出てしまうことを恐れて慎重な滑り出しを見せた。しかし、開始1分20秒すぎにタックルを決めると、松川の体を難なくコントロールしてフォール勝ちした。

 世界を極めた一撃必殺のタックルで快勝した吉田は「以前のルールの方が場外とか関係なく攻められた。その方がレスリングらしいと私は思う」とまずは新ルールに不満顔。しかし、すぐさま気持ちを切り替えて、「世界選手権は(新ルールのため)ボロ勝ちはできないと思うけど、1点差、2点差でも勝つような落ち着いたレスリングをして優勝したい」と、「69」まで伸ばした連勝記録の更新と、同大会3連覇に自信を見せていた。

(取材・文=渋谷淳)




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