2009年 天皇杯全日本選手権優勝選手

(2009年12月21〜23日、東京・代々木第二体育館)




55 長谷川恒平(はせがわ・こうへい)=福一漁業、3年連続3度目の優勝

 1984年11月22日、静岡県生まれ、25歳。静岡・焼津中央高〜青山学院大卒。全国少年選手権4連覇、全国中学生選手権2連覇。焼津中央高時代に02年のインターハイなど7つの全国タイトルを獲得。青学大ではグレコローマンで03年に世界ジュニア選手権に出場し、05・06年の全日本学生選手権でも優勝する一方、フリースタイルでも全日本大学選手権3連覇を達成など。卒業後はグレコローマンに専念し、07年全日本社会人選手権優勝。同年の全日本選手権で初優勝を遂げ、08年の全日本選手権でも優勝。09年はアジア選手権で初優勝し、ゴールデンG決勝大会でも優勝。世界選手権は上位入賞を逃した。164cm。
60 松本隆太郎(まつもと・りゅうたろう)=群馬ヤクルト販売、初優勝

 1986年1月16日、群馬県生まれ、23歳。群馬・館林高〜日体大卒。高校時代の2003年に全国高校生グレコローマン選手権と国体グレコローマンで優勝。日体大に進み、2年生の05年に学生二冠王、国体2位など。翌06年は学生タイトルに見離されたが、世界ジュニア選手権7位、全日本選手権2位など。07年はアジア選手権に出場して5位に入賞するとともに、全日本学生選手権と国体で優勝。全日本選手権でも2位へ。手首の手術で戦列を離れたあと、08年国体で復活優勝。09年の全日本選抜選手権とプレーオフで勝って世界選手権代表へ。8位に入賞した。168cm。
66 清水博之(しみず・ひろゆき)=自衛隊、初優勝

 1985年12月18日、滋賀県生まれ、24歳。滋賀・日野高卒。高校時代は上位入賞はなし。自衛隊に進み、05・06年全日本社会人選手権3位、06年国体3位など実力をつけ、06年度の全日本選手権で2位に躍進。07年冬の欧州遠征にも抜てきされ。07年アジア選手権代表へ。08年は全日本選抜選手権で優勝し、全日本選手権2位。09年全日本選抜選手権は3位と、日本一や日本代表にあと一歩と迫っていた。175cm。
74 鶴巻宰(つるまき・つかさ)=自衛隊、2年連続3度目の優勝

 1984年5月19日、山形県生まれ、25歳。山形・米沢工高〜国士大卒。高校時代の02年に全国高校グレコ選手権と国体グレコで優勝し、全日本選手権4位へ。国士大へ進み、03年は全日本大学グレコ選手権の1年生王者へ。04年は2階級にまたがって学生二冠を制し、全日本選手権で優勝。05年はアジア選手権3位、ユニバーシアード3位など力をつけた。07年全日本選抜選手権とプレーオフで全日本王者の菅太一を破り、世界選手権に初出場。07年は全日本王者を逃し、北京五輪予選出場の機会をもらったが生かせなかった。08年全日本選手権で優勝、09年は世界選手権に出場し、北京五輪王者を破るも上位入賞はならなかった。181cm。
84 斎川哲克(さいかわ・のりかつ)=両毛ヤクルト販売、2年連続2度目の優勝

 1986年3月11日、栃木県生まれ、23歳。栃木・足利工高〜日体大卒。高校時代の03年にJOC杯カデット選手権、全国高校生グレコローマン選手権、国体で優勝し、アジア・カデット選手権でも優勝。日体大へ進み、04年に1年生で全日本学生選手権に優勝。同年の全日本選手権では2位に入賞した。その後、けがによる戦線離脱もあったが、07年には2階級にまたがって学生四冠王に輝き、フリースタイルででも実力を見せた。同年全日本選手権は96kg級で北京五輪出場を目指したが、かなわなかった。08年は国体96kg級で北京五輪代表を破って優勝し、全日本選手権では本来の84kg級で初優勝。09年はアジア選手権、世界選手権に出場した。185cm。
96 北村克哉(きたむら・かつや)=FEG、2年連続2度目の優勝

 1985年12月14日、東京都生まれ、24歳。東京・東京工高(現駒場高)〜専大卒。高校時代の03年に全国高校選抜選手権120kg級3位、国体フリースタイル97kg級3位など。専大へ進み、04年JOC杯ジュニア選手権フリースタイル96kg級3位へ。05年に120kg級で全日本学生選手権を制し、全日本大学選手権は3位。全日本選手権でも3位に入賞した。06年は明治乳業杯全日本選抜選手権で勝ち、世界選手権へ出場。その後、グレコローマンに転向し、07年学生二冠(全日本学生選手権、全日本大学グレコローマン選手権)優勝などを経て、08年全日本選手権で優勝。09年はアジア選手権と世界選手権に出場した。182cm。
120 新庄寛和(しんしょう・ひろし)=自衛隊、2年ぶり3度目の優勝

 1982年10月11日、大阪府生まれ、27歳。京都・南京都高〜国士大卒。高校2年の時に国体ベスト8などの成績を残し、3年生でインターハイ2位、全国高校グレコ選手権と国体で優勝した。国士大へ進み、02年にJOC杯ジュニアや新人戦で優勝。全日本大学グレコ選手権も4位入賞と力をつけた。03年はアジア選手権出場し、04年全日本選抜選手権で2位へ食い込み、全日本選手権で優勝。05年にアジア選手権出場。その後、優勝から見放されたが、07年に世界選手権に初出場。全日本選手権でも優勝し、08年アジア選手権で3位。同年の全日本選手権は2位。09年は全日本選抜選手権とプレーオフに勝って世界選手権へ出場。181cm。




55 稲葉泰弘(いなば・やすひろ)=警視庁、初優勝

 1985年10月21日、茨城県生まれ、24歳。茨城・霞ヶ浦高〜専大卒。高校時代の2003年に全国高校選抜大会とインターハイで優勝。専大に進み、1年生の2004年に全日本選手権3位入賞。2005年にJOC杯ジュニアオリンピックで勝ち、世界ジュニア選手権で銀メダル獲得。全日本選手権は2位。2006年は全日本学生選手権で優勝、07年は学生二冠を制覇するなど成長。2008年に世界学生王者に輝いた。全日本のタイトルにはあと一歩及ばない状態が続いていたが、2008年の全日本選手権は2位に入賞した。162cm。
60 小田裕之(おだ・ひろゆき)=国士舘大、初優勝

 1988年6月8日、三重県生まれ、21歳。青森・光星学院高卒。三重・一志ジュニアでレスリングを始め、2003年に男子で史上3人目の全国中学生選手権3連覇を達成。青森・光星学院時代には05年のインターハイ王者などに輝く。国士舘大に進み、07年の全日本大学選手権で2位。08年のJOC杯ジュニアオリンピックは66kg級で優勝。同年の全日本選抜選手権では、2回戦で五輪出場資格を取った直後の湯元健一を破る殊勲を挙げて2位に入った。09年に学生二冠王者へ。162cm。
66 池松和彦(いけまつ・かずひこ)=福岡大助手、2年ぶり4度目の優勝

 1979年12月26日、福岡県生まれ、29歳。福岡・三井高〜日体大卒。高校時代は国体2位が最高。日体大へ進み、00年に全日本学生選手権63kg級で優勝し、01年に世界選手権の代表へ。同年の全日本選手権は2位。02年はアジア大会と世界選手権に出場。03年はアジア選手権2位のあと、世界選手権で銅メダル獲得。04年アテネ五輪は5位。05年はアジア選手権、世界選手権も3回戦敗退、その後、不振だった時期もあったが、07年全日本選手権で優勝し、08年3月のアジア選手権で3位となって北京五輪出場を決めた。同五輪は初戦敗退。171cm。
74 長島和幸(ながしま・かずゆき)=クリナップ、4年連続4度目の優勝

 1981年9月25日、群馬県生まれ、28歳。太田倶楽部出身。群馬・館林高〜早大卒。高校時代の99年に双子の兄・正彦とともに四冠(全国高校選抜大会、インターハイ、全国高校生グレコローマン選手権、国体)を制覇。早大へ進み、00年にJOC杯ジュニア選手権76kg級で優勝し、世界ジュニア選手権へ出場。翌01年もJOC杯に勝ち、世界ジュニア選手権は6位入賞。同年、全日本学生王者へ。02年は学生二冠を制し、世界学生選手権で6位。04年は世界学生選手権で銅メダルを獲得。06・07年に全日本王者に輝いているが、世界選手権と北京五輪の出場は逃した。08年全日本選手権で3連覇を達成。09年に世界選手権初出場。175cm。
84 松本真也(まつもと・しんや)=警視庁、4年ぶり2度目の優勝

 1984年7月16日、京都府生まれ、25歳。京都・網野高〜日大卒。京都・網野中時代に3年連続(97〜99年)で全国大会優勝。網野高では00〜02年に全国高校選抜大会2度、インターハイと国体を各3度勝ち、タイトルを総なめにした。高校8冠王は史上初。00・01年はアジア・カデット選手権でも勝った。日大1年の03年に全日本大学選手権で勝ち、翌04年は学生二冠王へ。この間、03年世界ジュニア選手権へも出場。06年に全日本選抜選手権で優勝し、世界選手権に出場して10位。その後、日本一、日本代表から遠ざかっていたが、09年に全日本選抜選手権で勝ち、3年ぶりに世界選手権に出場した。171cm。
96 磯川孝生(いそかわ・たかお)=山口県協会、5年ぶり2度目の優勝(この階級は初優勝)

 1984年6月10日、熊本県生まれ、25歳。大分・日本文理大付高〜拓大卒。少年時代から全国に名をとどろかせていたが、中学では全国3位が最高。高校へ進んで再び頭角を表し、01年にはインターハイなどで優勝し、02年には4冠を制覇。アジア・ジュニア選手権4位、全日本3位と力をつけた。04年は全日本選手権84kg級で初優勝。05年はアジア選手権2位など実力を伸ばした。06年は学生二冠を制したが、全日本選手権は2位。07年から96kg級へ上げ、全日本選手権2位。08年はアジア選手権に出場し7位。同年の全日本選抜選手権で優勝。09年に世界選手権に初出場した。176cm。
120 下中隆広(しもなか・たかひろ)=国士舘大大学院、初優勝

 1985年9月9日、徳島県生まれ、24歳。徳島・池田高〜国士舘大卒。中学時代は野球の選手。徳島・池田高からレスリングを始め、2003年に高校四冠王者(全国高校選抜大会、インターハイ、全国高校生グレコローマン選手権、国体)へ。しかし、国士舘大に進んだあとは、けがのため特別な実績を残せなかった。しかし卒業後に復帰し、09年全日本選抜選手権3位を経て、国体で優勝。181cm。





48 坂本真喜子(さかもと・まきこ)=自衛隊、2年連続4度目の優勝

 1985年11月20日、青森県生まれ。24歳。愛知・中京女大附高卒。00年全国女子中学生選手権優勝などを経て、姉・日登美(世界V2)を追って中京女大付高へ。02年に全日本選手権48kg級で勝ち、03年は世界選手権に出場して5位。アテネ五輪は伊調千春との争いに敗れて逃したが、05年世界選手権に出場して銅メダル獲得した。その後、伊調千春の壁を破れず、北京五輪出場も逃した。08年全日本女子選手権で優勝し、同年の世界女子選手権に出場し銅メダルを獲得し、同年の全日本選手権でも優勝。09年はアジア選手権3位、世界選手権は8位に終わった。152cm。
51 甲斐友梨(かい・ゆり)=アイシン・エィ・ダブリュ、初優勝

 1984年5月8日、滋賀県生まれ。25歳。滋賀・八幡工高卒。04年ジャパンクイーンズカップ51kg級(以下同級)で優勝し、同年アジア選手権2位。05年ユニバーシアード出場のあと、06年はアジア選手権とゴールデンGP決勝大会でともに銀メダル。全日本選手権も2位に終わった。07年はワールドカップの48kg級に出場し、個人優勝。しかし、その後は国内の大会では優勝になかなか手が届かなかった。09年に繰り上げで世界選手権に出場し、銅メダルを獲得。他に、ゴールデンGP決勝大会2位など国際舞台で成績を残した。156cm。
55 吉田沙保里(よしだ・さおり)=ALSOK綜合警備保障、8年連続8度目の優勝

 1982年10月5日、三重県生まれ、27歳。一志ジュニア出身。三重・久居高〜中京女大卒。少年少女レスリング時代から名をとどろかせ、同世代の大会で無敗。1999年世界カデット選手権優勝のあと、2000・01年の世界ジュニア選手権で2連覇。2002年はアジア大会で勝ち、世界選手権に初出場初優勝。続く全日本選手権でも勝った。2003年に世界V2を達成し、2004年のアテネ五輪で優勝。2005年にワールドカップ、アジア選手権、ユニバーシアード、世界選手権、2006年にワールドカップ、世界選手権、アジア大会と優勝を重ね、2007年もアジア選手権、世界選手権で優勝。2008年1月のワールドカップで連勝記録は途切れたが、同年のアジア選手権で優勝して再起。北京五輪で2連覇を達成し、続く世界女子選手権でも優勝。09年の世界選手権でも7度目の優勝を遂げた。156cm。
59 正田絢子(しょうだ・あやこ)=京都・網野高教、11年ぶり2度目の優勝(この階級は初優勝)

 1981年11月3日、大阪府生まれ。28歳。京都・網野高〜東洋大卒。吹田市民教室でレスリングを始め、98年JOC杯ジュニア58kg級で優勝するとともに、16歳で全日本選手権62kg級で優勝の殊勲を挙げた。99年に世界選手権に初出場初優勝。00年はアジア選手権と世界ジュニア選手権で優勝し、01年もアジア選手権で優勝した。その後、負傷で低迷していたが03年にアジア選手権63kg級で優勝。05年に59kg級へ落とし、ワールドカップ、ユニバーシアード、世界選手権と優勝。06年は世界選手権で連覇した。07年の世界選手権は7位に終わったが、08年同選手権で勝って4度目の世界一へ。09年は世界選手権の出場を逃した。163cm。
63 伊調馨(いちょう・かおり)=ALSOK綜合警備保障、2年ぶり7度目の優勝

 1984年6月13日、青森県生まれ、25歳。愛知・中京女大附高〜中京女大卒。96年全国少年選手権優勝、98年全国女子中学生選手権52kg級などで優勝を重ね、01年ジャパンクイーンズカップ56kg級で現役世界チャンピオンの山本聖子をフォールで破る大殊勲を達成。同年の全日本女子選手権は4位に終わったが、02年はアジア大会銀メダルのあと、世界選手権に初出場初優勝。03年に世界を連覇し、04年アテネ五輪でも優勝。05年もワールドカップ、アジア選手権、ユニバーシアード、世界選手権、06年もワールドカップ、世界選手権、アジア大会と優勝を重ね、07年も世界選手権で優勝し、08年は北京五輪で2連覇を達成した。その後、約1年間休養し、カムバック。166cm。
67 新海真美(しんかい・まみ)=アイシン・エィ・ダブリュ、初優勝

 1985年6月7日、滋賀県生まれ。24歳。滋賀・日野高〜中京女大卒。03年にJOC杯ジュニアオリンピックと全国女子高校選手権で優勝したほか、世界ジュニア選手権72kg級に出場。04年全日本学生選手権優勝と力をつけ、05年はアジア・ジュニア選手権、世界ジュニア選手権、ユニバーシアードで優勝を重ねた。06年は全日本選手権2位へ。07年ジャパンビバレッジクイーンズカップで優勝。06〜08年にワールドカップに出場。同年の世界選手権で銀メダル獲得。その後、国内の72kg級に出場したものの、再び67kg級へ。158cm。
72 浜口京子(はまぐち・きょうこ)=ジャパンビバレッジ、2年ぶり13度目の優勝

 1978年1月11日、東京都生まれ。31歳。ボディビルからレスリングへ。96年にアジア選手権70kg級で優勝。翌年、75kg級で世界一に輝き、99年まで3連覇。00年の世界選手権は3位に終わり、01年も4位で世界一奪還ならなかったかが、02年に返り咲いた。同年はほかにアジア大会、ワールドカップでも優勝。03年に5度目の世界一へ輝いた。04年はアテネ五輪で銅メダルを獲得し、全日本選手権で9度目の優勝を飾った。05・06年は世界選手権2位。07年はアジア選手権で優勝したものの、世界選手権は9位。08年はアジア選手権優勝、北京五輪と世界選手権でともに3位。09年前半は休養し、夏から復帰。170cm。


天皇杯 
吉田 沙保里

男子グレコ最優秀選手
長谷川 恒平

男子フリー最優秀選手
稲葉 泰弘

女子優秀選手
伊調  馨


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