▲一覧ページへ戻る


【特集】親子で偉業に挑戦! 減量を乗り越えで達成…男子47kg級・藤波勇飛(三重・西朝明)
【2011年6月13日】

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)




 沼尻直杯全国中学生選手権の男子47kg級は藤波勇飛(三重・西朝明)が史上4人目の三連覇を達成した(右写真=副賞を前にし、勇飛と父・俊一さん)。決勝戦は3年連続で乙黒圭祐(東京・稲付)との対決となった。大会初日の準決勝まで、藤波は全試合はフォールかテクニカルフォールで勝ち、さらに無失点と最高の出来。

 決勝戦も、開始早々に相手のバランスを崩してテークダウンを奪う。ローリングに移行すると、乙黒に足をかけられたイニシャルを変更させされようとされ、藤波は「ちょっと焦りました」と振り返る。しかし、「気持ちを強くでき、勝つ自信があった」と、直後に今度はフォールの体勢に移行し、わずか1分30秒で3年連続の優勝を決めた。「正直、うれしいです!」−。副賞でもらった高級マウンテンバイクを手にした藤波は満面の笑みで全中での戦いを終えた。

■昨秋の全国中学選抜選手権での屈辱をバネに

 昨年から始まった東京都知事杯全国中学選抜選手権(11月)では挫折も味わった。階級をひとつ上げて臨んだ47kg級で前田頼夢(福井・成和中)に全ピリオドともクリンチによる1−2で敗れた。42kg級では早技で相手を仕留めていた藤波にとって、「攻められなかった」と、負け以上にテクニカルポイントが取れなかったことが悔しかった。

 成長期を迎え、身長や体重は日に日に増加。今大会も53kg級が適正階級だったが、藤波は自分に試練を課す。なんと選抜大会と同じ47kg級にエントリーした。減量は6〜7kgに及び、体調管理が心配された。だが、監督で父の藤波俊一監督は「減量は本人の強い意向だった。記録もかかっていて、勇飛もそれを意識していたので、本人の意思を尊重させました」と、親子二人三脚で三連覇に挑戦することに。

■JOC杯のおかげで減量は順調に成功

 リスクが伴う分、プランは綿密に練った。4月のJOC杯ジュニアオリンピックは46kg級にエントリーさせ、約2ヶ月にわたって47kg級にベストな体を作った。藤波監督は「1ヶ月前に一度落としているので、全中は体重調整が楽だった」と話し、計量は難なくクリア。1回戦はわずか12秒、2回戦は29秒、3回戦は2ピリオドあわせて86秒でテクニカルフォール勝ちなど、序盤は瞬殺で体力を使わずに乗り切ると、後半にはすっかり減量前の状態に戻ったそうだ。

 藤波監督は「指導者としても父としてもうれしい。今日の試合は一番よかった。自信を持ってやっていた」と愛息をたたえた。過去3人の全中V3王者(松永共広、松本真也、小田裕之)は全員、全日本選手権を制し、世界選手権代表になっている。その素質が見込める藤波に対し、藤波監督は「まずは、(来年から)インターハイで活躍できるように。高橋侑希(昨年のユース五輪金メダル)の記録(1年生高校王者)を超えられるかな」とうれしそうに未来を語った。
(右写真=メダル3個を取ったクラブの選手とともに)



  ▲一覧ページへ戻る