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【特集】負傷で戦線離脱のまな娘へエール…谷地明美さん(青森・八戸キッズ)
【2011年1月17日】

 (文・撮影=樋口郁夫)




 女子A・Bの部で1勝1敗をマークして2位となった谷地明美さん(47歳=青森・八戸キッズ)は、至学館大1年の谷地美紀選手の母親。昨年に続いての出場で、昨年は今年と同じ長尾由香里さん(大阪・近大クラブ)に“秒殺”されての1勝1敗だったが、今回は第2ピリオドまで持ちこむことができ、「ホッとしました」と安堵の表情。(写真=ともに青が谷地さん)

 昨年は怖いもの知らずという面があり、何の不安もなくマットに上がれたという。2回目の今年の方が「嫌だった」そうだ。また、仕事の多忙や父の死去などで思うように練習できず、不安が増したようだ。それでも終わってみると、「出てよかったです」とニッコリ笑顔。「けがで戦列を離れている娘に気持ちを伝えられると思います」と話した。

 出場を決意したのは、美紀選手がじん帯を切ってしまい長期戦線離脱したことに始まる。「頑張れ、と口で言うのは簡単ですけど、言われる方はプレッシャーになると思います。何かいい方法はないかと思い、行動で示すことにしました」という娘への愛情からの決心だった。子供を愛知(至学館高)に預けて4年。当初は寂しさを感じることはなかったそうだが、最近は美紀選手が里帰りし、愛知へ戻る時に涙ぐんでしまうほど娘を思う気持ちが強くなったという。負けたとはいえ、今回の奮闘は負傷からのカムバックに努力している美紀選手へ、最高の贈りものとなったことだろう。

 他にも、八戸キッズ教室にコーチ格として参加してキッズ選手と一緒に汗を流しているが、「選手を褒めるにしても、どれだけきついかが分からないと、心から褒められない」として、実際にレスリングの厳しさを経験したいという気持ちもあった。

 娘への、そして教室の選手達への思いを行動で示した谷地さん。来年の出場を問われると、「嫌だ、と言いながらも、結局は出ているような気がしますね」−。



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