【特集】JOCアカデミーの男子2選手が優勝【2010年1月1日】

(文・撮影=樋口郁夫)



 JOCアカデミーの男子2選手がともに優勝。2009年の大会を最高の形で締めくくった。

 73kg級に出場した白井勝太(右写真)は、今年度の全国中学生選手権は66kg級に出場して優勝している。今回は減量せず1階級上での試練を求めた。体の大きな選手が相手となり、簡単に勝てないことは覚悟していたが、大会前に左ひざを痛めてしまって練習不足で臨まざるをえないハンディが加わった。そのためか、初戦(準決勝)は第2ピリオドを取られ、第3ピリオドまでもつれての勝利。

 全国中学生選手権73kg級チャンピオンの和智健悟(霞ヶ浦アンジュ)との決勝では、明らかにその疲れが見え、第1ピリオドを1−1のラストポイントで勝ったものの、肩で息をしていたのは白井の方。先が不安視される内容だった。しかし第2ピリオドが始まると、周囲の不安を吹き飛ばす粘りを見せ3−1で快勝。「焦ることなく闘うことができた。(1階級上のチャンピオンを破ったことは)自信になる」と振り返った。

 もっとも点数をつけるなら30点という内容。「攻めきれず、反省することが多い大会だった」と言う。普段の体重は70kgもないため、73kg級出場は今回限り。来年の全国大会は本来の66kg級で2連覇目指すという。

■「2人とも『勝ちたい』という気持ちがすごい」と、江藤正基・専任コーチ

 47kg級の澤太朗(左下写真)は昨年度まで大阪・吹田市民教室に在籍しており、全国少年少女選手権7連覇の強豪。今年度の全国中学生選手権は体調不良のため出場せず、1年生王者を達成することはできなかったが、今回のタイトル獲得でその悔しさを吹き飛ばす形となった。

 大会前にトーナメント表を見たとき、「強い選手が多くて勝つのは大変だ」と思ったそうだが、「優勝する」という気持ちをしっかり持って臨んだ。結果は、3回戦の第1ピリオドをクリンチの防御で1点を失った以外は失点を許さない試合内容。4試合のポイントの合計は34−1という快勝だった。

 JOCアカデミーに入って9ヵ月。自分ではそれほど変わったという意識を持っていないそうだが、周囲からはよく「変わった。強くなった」と言われるそうで、「変わったのかな?」と苦笑い。アカデミーの江藤正基・専任コーチ(1983年グレコローマン57kg級世界王者)から「もっと多くの技を教えてもらいたい」とどん欲。来年の全国制覇へ向けて気合を入れた。

 江藤専任コーチは「2人とも『勝ちたい』という気持ちが強い。体力もついている。第1ピリオドを取られても、取り返せる実力があるので、焦ることがない」と、2人の強さを説明する。また、すばらしい施設の味の素トレーニングセンターで練習していること、同所で行われる全日本チームの合宿に加わらせてもらい、時に全日本コーチからの指導を受けていることなどがモチベーションの向上となり、実力のアップにつながっていると分析する。

 先輩となる白井は「澤に追い上げられているので、頑張らねばなりません」と話す。最高の練習環境で元世界王者の指導を受け、お互いが刺激し合って上を目指す環境ができたようだ。4月に3年目を迎えるアカデミーの躍進が期待される。

 なお、アカデミー所属の女子は3選手が出場し、46kg級の宮原優が優勝、64kg級の古市雅子が2位、58kg級の花田彩乃が3位。全員がメダル獲得という成績だった。


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