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【特集】レスリング経験のない“異色レスラー”が修斗でデビューへ…岡田章(久我山ラスカルジム)【2010年3月日】

(文・撮影=増渕由気子)  
 

 3月20日に東京・町田市民体育館で行われた第16回全日本コンバットレスリング選手権で、混戦の73s級を制したのは久我山ラスカルジムの岡田章(右写真)だった。昨年3位の実績を持つ岡田は、タックルからテークダウンを奪うと、フォールの体勢に持ち込み、押さえ込みでポイントを確実に稼ぐという“レスリング・スタイル”で優勝した。
 
 筋肉隆々で、学生レスラーあがりとも思える立派なボディを持つ岡田だが、レスリングの経歴はなし。長野県出身で中学高校は剣道部に所属し、日体大時代は1年間、体操部に所属。多くの格闘家がバックボーンとするレスリングや柔道とは無縁だった。

 格闘家への憧れは昔から抱いており、「剣道部だったけど、筋トレばっかりしてました」と言う。2005年PRIDEライト級GPの決勝戦、五味隆典VS桜井“マッハ”速人の一戦を見て、その気持ちはますます膨らんだ。

 五味はその後、都内の久我山にジムを開設した。「友達に五味さんのジムを見学しようと誘われた」のをきっかけに道場に入門。体操部で鍛えた筋肉だったが、「この筋肉は体操ではなく格闘技で使おう」と退部し、大学2年からは総合格闘技一本にしぼってトレーニングを積んだ。

■日体大レスリング部ではボコボコにやられたが、格闘家の強さが養われた

 総合格闘技は、打撃や関節技などあらゆるジャンルの格闘技の習得を要する。五味は卓越した打撃センスが売り物だが、元は木口道場でレスリングをやっていた選手。国士舘大レスリング部に頻繁に出げいこに行ったり、2008年の北京五輪前に東京・ナショナルトレーニングセンター(現味の素トレーニングセンター)で行われたプロアマ合同トレーニング参加するなど、レスリングにも重きを置いていることが知られている。

 そのため、ラスカルジムの練習メニューは他の総合ジムよりレスリングの割合がかなり多いという。少し自信をつけると、日体大レスリング部にお邪魔することもあった。3年生の時には授業でレスリングを選択。藤本英男・前部長から指導を受けたこともある。

 「レスリング部の選手とのスパーリングではボコボコにやられて歯が立たなかった」と振り返ったが、五輪選手を多く輩出している日体大にもまれただけあり、体は立派なレスラー体型へ変貌。その肉体は、今大会の73s級で人目をひくほどだった
(左写真=優勝を目指して闘う岡田)

 最近はアマチュア修斗に参戦し続け、先日プロライセンスを獲得。「4月24日にプロデビューします」と言う。剣道、体操というバックボーンを持つ“異色レスラー”に注目だ。


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