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男子両スタイルの全日本チームが、モンゴルを迎えて合宿スタート【2010年3月25日】


 男子両スタイルの全日本チームが3月24日、東京・味の素トレーニングセンターで合宿をスタート。モンゴルからフリースタイルの軽中量級8選手が参加し(右写真)、明治乳業杯全日本選抜選手権(5月1〜3日、東京・代々木競技場第2体育館)前最後の合宿に汗を流した。4月2日まで行われる。

 モンゴルの参加は日本が招待して実現したもの。2007年世界選手権55kg級2位のバヤラー・ナランバータル、2009年アジア選手権60kg級2位のガンゾリグ・マンダカナランらトップ選手を含めたチーム。外国選手の参加ということで、選手には刺激となり、これまでにない緊張感あふれる合宿となった。

■日本流の猛練習にバテ気味のモンゴル選手

 日本協会の高田専務理事は「これからが本当のスタート」とあいさつ。「この冬の海外遠征で優勝しても、明治乳業杯で負けたら世界選手権には出られない。遠征で結果が出なかったり、行けなかった選手であっても、勝てば世界選手権へ行ける。これからの1ヶ月を大事にしてほしい」と要望した
(左写真)

 佐藤満強化委員長(専大教)は、優勝者も輩出し多くのメダルを取った冬の遠征を評価。「だれもがメダルを取るか取らないかのレベルに達している。これを、確実にメダルを取るレベルに上げ、金メダルをも取れるという段階までに上げてほしい」と話し、「明治乳業杯も控えているが、世界で金メダルを取るための合宿をやってほしい」と、目先の大会にこだわらない世界を視野に入れた練習を望んだ。

 ともに「アジア選手権(5月12〜16日、インド・ニューデリー)で重量級のアジア大会(11月、中国・広州)の派遣が決まる。だれをもカットしたくない。結果を出してほしい」旨を要望した。

 練習では、30秒のスパーリングなどが休む間なく続き、日本流の練習に慣れていないモンゴル選手は途中で座り込むなどバテ気味。佐藤強化委員長は「日本ほど練習している国ない。これだけの練習をやり続けることで、各選手が自信を持てると思う。持ってほしい」と話した。
(右写真=練習の最後の補強トレーニング)

■世界3位の米満達弘、全日本王者の清水博之(ともに自衛隊)が復帰参加

 今回の合宿には、昨年の世界選手権で銅メダルを取りながら、右肩の負傷で12月の全日本選手権を棄権したフリースタイル66kg級の米満達弘(自衛隊)が、通い練習ながら久しぶりに参加した。治療に努めている間はレスリングの練習はあまりできなかったが、それ以外のトレーニングをしてきたので、体力的にはそう落ちていないという。

 しかし、全日本のトップ選手相手の打ち込みやスパーリングでは「ちょっと感覚がつかめなかった。体が反応しなかった」と言う。あと1ヶ月強で元に戻さなければ世界選手権への道が断たれてしまうが、「ベストを尽くせば優勝できると思う。プレーオフをも勝ち抜かねばならないことは、(全日本選手権を欠場した段階で)覚悟のうえ」と話した。
(左写真=全日本王者の池松和彦と練習する米満)

 男子グレコローマン66kg級の清水博之(自衛隊)も、自衛隊員としての必修の初任空曹課程のため、山口県防府市で約2ヵ月半の教育を受けており、やっとマットに復帰した。「全日本の練習は緊張感が違いますね」と話し、“心地よい感覚”を楽しみつつも体力回復が当面の課題。期間中は、徳山大に5、6回練習に加わった以外はマットに上がることができなかったそうで、「やはり体がきついです」と言う。

 全日本チームを離れていた間に全日本2位の藤村義(自衛隊)が「ハンガリー・カップ」で優勝し、安閑とはしていられない状況になっている。しかし「藤村さんは元々強い人なので、優勝するのはあたりまえでしょう」と、それが特別なプレッシャーにはなっていないもよう。「やみくもに練習量をこなすのではなく、ポイントを押さえた練習」によって空白を埋め、世界選手権へのキップを目指す。

 モンゴル・チームの団長として同行したルクハグバ・チンバト会長は「すばらしい施設に驚いた」と日本の五輪基地を絶賛。練習を見て、「コーチが熱心に教え、選手がそれにしっかり対応している。コーチの熱心さ、厳しさが印象に残った。モンゴルのコーチはここまで厳しくない」と感じたという。

 モンゴルはサッカーよりモンゴル相撲やレスリングの方がメジャーという世界でも珍しい(?)国。「選手数はそれほど多くないが、やる選手のポテンシャルは高い。日本と競り合って、お互いに世界のトップを目指したい」と、今後の交流を希望した。


あいさつするモンゴル協会のルクハグバ・チンバト会長。味の素トレセンを絶賛した。 手の内を知っている稲葉泰弘(左)と2007年世界2位のバヤラー・ナランバータル。 自衛隊員の職務で約2ヶ月半、マットを離れていた清水博之が全日本に復帰。

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