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【特集】出場停止処分を乗り越え、関大が一部リーグへ復帰【2010年12月6日】

(文・撮影=樋口郁夫)



 部員の不祥事によって春のリーグ戦に出場できなかった関大が、二部リーグを6戦全勝で圧勝優勝。来季の一部リーグ昇格を決めた(右写真)。比与森正志監督は「全試合7−0が目標だった。桃山学院大で1試合、関西学院大で2試合を落としてしまった」と言いながらも、苦しかった活動停止の期間を乗り越えての優勝だけに、まずは満足と言った表情。

 昨年の秋の大会で二部リーグに転落が決まり、「春は絶対に復帰する」と新チームは一丸となって燃えていた。インターハイ王者(村上貴之=長崎・島原高卒、74kg級)を獲得し、燃えていた矢先の出場停止処分。「選手、特に4年生、OBのだれもが、悔しさと大きな挫折感を味わいました」と言う。

 しかし、処分が解除されたあとのために悔しさを練習にぶつけ、「6月はよく練習した」と言う。処分解除のあとの西日本学生新人戦では66kg級の増谷剛と村上の2選手が優勝し、10月の西日本学生選手権でも、前記2人が優勝したほかメダルを多く取った。比与森監督は「チームが一丸となって頑張ってくれた姿には感動しました」と振り返り、挫折を乗り越えて栄光をつかんだ選手を褒めたたえた。

■西日本の栄光は、伝統大学が支える!

 関大は1964年東京五輪のグレコローマン・バンタム級で優勝した市口政光さんを輩出したチーム。昭和40年代中盤までは関西学院大とともに西日本学生の王者を争っていた。最近、大学が再びスポーツ入試制度を取り入れ、いろんなスポーツで再び成績を出し始めている。レスリングもこの波に乗りたいところだ。

 「やはり新興大学には負けたくないですね」と比与森監督。特に決まりがあるわけではないそうだが、関大は他大学出身の指導者がいるわけではなく、コーチング・スタッフにはOBが並んでいる。この大会にも多くのOBが駆けつけて観客席から応援し、全試合終了後のミーティングにも参加。チームとOBのつながりは強いという
(左写真関大を支えた増谷一樹主将)

 口には出さなかったものの、比与森監督の表情からは「西日本の学生レスリングは、伝統大学が支えたい」という気持ちが伝わってくる。東では最古参の早大が復活し、リーグ戦優勝を遂げた。西日本の古豪もこのままで終わるわけにはいくまい。一部リーグに復帰する来年の活躍が期待される。



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