▲一覧ページへ戻る

 

【特集】安達巧・前日体大監督が新天地でスタート…日本文理大【2010年12月6日】

(文・撮影=樋口郁夫)



 今年4月に大分県にある日本文理大に職員として赴任した安達巧・前日体大監督が、日体大の処分解除を待って10月1日、同大学の監督に就任。初めてのリーグ戦に臨んだ。結果はA組3位を経て5位へ。「今回は優勝できませんでしたが、一歩ずつ進んでいきたい」と、気持ちも新たに新天地で正式にスタートを切った。

 4月から来るべき日に備えて観客席で選手の試合は見ていた。監督就任後は西日本学生選手権や全日本大学選手権にも参加しているが、リーグ戦は違ったムードがあり、団体戦にセコンドとして参加して、選手の熱気を直に感じたもよう。「盛り上がりましたね」と、久しぶりに熱く燃えられる現場にタッチできてうれしそうだ
(左写真=セコンドからアドバイスを送る安達監督)

 日体大は全国から選手が集まり、全日本トップレベルのOBも練習に参加して、世界に目が向いていた。それとは選手のレベルも目指すものも違う。当然、指導方法も全然違うだろうが、「日体大と比べることはしません。今の選手の目線に立っての指導を心がてきます」として戸惑いはなし。「指導者として初心に帰り、今いる選手をしっかり育てていきたい」と希望を話した。

■初年度もスカウトも順調、来年から本格的なチームづくりへ

 選手に一番厳しく指導しているのは、攻撃すること。「タックルに入って回り込まれてポイントを取られてもいい。とにかく攻めることを指導しています」と言う。最近、「選手の意識がやっと攻撃レスリングに向いてくれたと感じる」そうだが、大会ではできている選手もいれば、できていない選手もいた。それでも、「負けて何かを得たと思います」と、早急に結果は求めずに長い目で見ていく腹積もりだ。

 今年は3年生の合谷成喜選手が世界ジュニア選手権の代表に選ばれ、全日本チームの練習にも参加した。全体としてみると、まだ世界に目が行く段階ではない。「基本の繰り返しです。西日本インカレで優勝できる選手を育て、リーグ戦で優勝すること」が当面の目標だ。

 九州の大学は、選手集めに関して関東や関西のチームに比べると厳しいのが現状だ。しかし日体大の監督としてつくってきたパイプで九州・沖縄や中国を中心に声をかけた。また、四国はフェリーが直結していることもあって“近所”とのこと。四国の高校にも積極的に声をかけ、今年のスカウトはいい選手を獲得できたという。来年からは自らのスカウトした選手によるチーム作りが始まる。

 安達監督は鹿児島県の出身で、九州には愛着がある。「一歩一歩進み、いずれは全日本で活躍できる選手を育てたい」−。新たな闘いはスタートしたばかり。



  ▲一覧ページへ戻る