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学生女子の伝統を守った明尾弥紀(環太平洋大)らが帰国【2010年10月31日】


 10月26日からイタリア・トリノで行われた世界学生選手権で金メダルを獲得した女子48kg級の明尾弥紀(環太平洋大)ら女子チームが10月30日、成田着のルフトハンザ航空で帰国した。

 明尾は「応援してくれた日本チームの選手のほか、学校関係者、レスリング関係者の皆さんに感謝の気持ちでいっぱいでした。そう思ったあと、しばらくしてから、うれしさがやってきて、優勝したんだなあと実感が湧きました」と優勝の感想。昨年の全日本学生選手権(インカレ)で優勝してこの大会の日本代表に選ばれながら、今年のインカレは初戦敗退の屈辱。それをはね返すような実力誇示だった。

 インカレでは「決めるところで決められなかった」という反省があった。その反省と悔しさをばねに練習に打ち込んだ。10月の全日本女子オープンの51kg級で優勝して波に乗り、今回の栄光につなげた。インカレの反省を生かして「決めるところを決められたのが勝利につながったと思います」と振り返った。

 初戦のカナダ戦では、首投げで投げられてあわやフォールというピンチを迎えたという。「焦りました。それを乗り越えて勝てたことが、とても印象に残っています。決勝は落ち着いてでき、足も動けて自分らしいいいレスリングができたと思います」と振り返る一方で、苦手の組み手がまだしっかりできていなかった。「今後の練習で克服していきたい」という(左写真=明尾と嘉戸洋監督)

 これまでアジア・カデット選手権2度と昨年秋のシャヒード・バガト・シン国際大会(インド)で優勝しており、国際大会は負け知らず。「でも、世界と名がつく大会の優勝は、うれしさが増す」とのこと。このうれしさを大きくするために、「国内でトップになって世界で闘い、いずれはオリンピックを目指したい」という。現在は世界一7度の坂本日登美(自衛隊)という大きな壁があるが、「まず自分との闘い。それを乗り越えて、大きな壁に挑みたい」と決意を語った。

■世界のレベルアップを痛感した嘉戸洋監督

 日本チームの嘉戸洋監督(環太平洋大教)は、教え子の快挙と金メダル獲得の伝統を守ったことにまずまずの表情だが、3階級で決勝に進出して1選手しか勝てなかった現状に、「このままではいけない」と厳しく話した。

 「日本も鍛えているけど、他国のレベルアップはすごい。特にウクライナ。体力も技術もアップしている。中国は来ていなかったけど、ロシア、カナダなどもすごい。危機感を感じました」とのこと。がぶり返しやすくい技など、外国選手がいろんな技を使ってくるのを目のあたりにし、多くの技を教える必要性を感じたそうだ。「技を知らなければ防御もできない」と言う
(右写真=選手に最後のアドバイスを送る嘉戸監督)

 「今回は世界の頂点の大会ではない。世界選手権に出てくる選手は、もっと高度な技を使ってくる。息を上げた、という根性練習では通じない。体力もさることながら、実戦で使える高度な技術のマスターが必要」と、練習内容の転換を訴えた。「今のオリンピック選手はこれだけやっていた、ではダメ。それ以上のことをやっていかなければ、世界に取り残される」と話し、学生チームによる冬の遠征なども実施させてもらって若手選手の底上げを誓った。



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