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【特集】全国大会初戦敗退が悔しく、大阪まで遠征…山梨ジュニア・五味城さん【2010年10月26日】

(文=樋口郁夫)



 押立杯関西少年選手権には、山梨・山梨ジュニアから2選手が参加してきた。五味虹登選手(1・2年生の部21kg級)と細田義翔選手(3・4年生の部33kg級)の2人とも上位入賞はならなかったが、この経験が今後にどう生きるか?(右写真:五味さん親子=左=と細田さん親子)

 長男・虹登君を出場させた五味城さんは「7月の全国大会で1回戦で負けてしまいまして、ふがいなかった。この大会はレベルが高いとのことで、見ておこうかと思いまして」と、長距離遠征の動機を説明する。

 今回もメダル獲得はならなかったが、虹登選手は2試合を勝ち抜き、「いい経験になったと思います」と言う。来年の全国大会で勝ち上がるには「タックルをしっかり入れるようにしたい」と反省点を挙げた。「とにかく試合に出ることです」とも言う。「試合に出る目標があるから選手も頑張れる。多くの試合に出したいです」と、試合数をこなしていくつもりだ。

■「レスリングはけがが少なく、子供に最適のスポーツ」

 五味さんはキックボクシングをやっており、プロのライセンスも獲得した元格闘家(注・木口道場出身の総合格闘家の五味隆典選手と血縁関係はない)。レスリングをやっていた後輩がいたことでレスリングに接するようになり、長女(今大会にエントリーしたが、けがで棄権)と長男にさせることになった。

 キックボクシングを悪く言うつもりは毛頭ないだろうが、「キックは相手を壊す格闘技ですけど、レスリングはけがが少ない。身体能力の上がるスポーツで、心身ともに鍛えてもらっています。子供に最適の格闘技だと思います」と言う。

 また、「上級生が下級生の面倒を見るようになるスポーツなんです。教えなくとも、自然に面倒を見るんですね」と、連帯感がついていくメリットを挙げた。個人的にも「親と子の距離が縮んだという感じがします」と、父子のきずなが太くなり、他のクラブの父母と交流ができ、レスリングに携わったことで得ることは多い(左写真=セコンドでわが子の試合を見守る五味さん)

■17年前にスタートした一貫強化が花開く山梨県

 山梨のレスリングといえば、まず山梨学院大が連想される。山梨ジュニアは、同大学OBで現在ALSOKで指揮をとる大橋正教監督が甲府市に住んでいた時、山梨県の一貫強化を目指して1993年に創立したクラブだ。大橋監督は同地を去ったが、東農大レスリング部OBの小尾幸也さんに託し、現在まで続いている。

 練習は土・日曜日に山梨農林高の道場で行い、水曜日に近くの北杜クラブの練習に加わることが多い。部員は20人近く。どうしても野球やサッカーなどのメジャーなスポーツに選手をとられてしまうが、五味さんは「盛り上げようと思い、部員を増やそうと頑張っています」と話す。

 大変なことは多いが、県としての連帯は抜群だ。1987年世界選手権代表の赤石明雄さんが山梨県少年少女レスリング連盟の会長として同県のキッズレスリングをまとめ、中学、高校、大学ともパイプをつくっている。山梨ジュニアも時に山梨学院大学に出向き、大学選手に指導を受けることもあるという。「大学生はみんなよくしてくれます」と五味さん。県の団結によって、山梨県のレスリングの益々の発展が期待できそう。

 ALSOKの大橋監督が撒いた一貫強化の芽は、しっかりと育っている。山梨ジュニアの活動を伝え聞いた同監督は「ボクがいた最後に幼稚園の選手だった石原拓朗選手が去年、韮崎工業高校の選手として国体で優勝(グレコローマン55kg級)。今年、日体大に進みました。みんな頑張ってくれていますね。うれしいです。これからも頑張ってほしいです」と、古巣へエールを送った。



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