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【特集】今年4月にグレコローマンへ転向し、一気に学生二冠王へ…内村勇太(拓大)【2010年10月15日】

(文=池田安佑美)



 全日本大学グレコローマンン選手権の60kg級は、内村勇太(拓大)が初優勝。8月の全日本学生選手権(大阪)に続いて学生二冠王に輝いた。

 「グレコローマンの内村」に違和感を覚える者もいるだろう。それもそのはず、内村は、佐賀・鹿島実高時代にフリースタイルの高校三冠王に輝いており、拓大でもフリースタイルを専門にやっていた選手だ。2008年の全日本大学選手権(新潟)で、今年フリースタイル60kg級の世界代表になった小田裕之(国士舘大)に逆転フォール勝ちを収めたことは、内村のレスリング生活の中のハイライトだ(決勝で日体大・前田翔吾に敗れ2位)。

 その内村がグレコローマンに転向したのは今年の4月。今大会での優勝は、スタイルを変えてからまだ半年しか経っていない中での快挙だ。転向のきっかけは、拓大の団体戦でグレコローマン60kg級のポジションが空いていたいたこと。「このポジションをこなせるのはオレしかいない!」と一念発起。

 「もともと、差したりすることが得意」ということもあり、すぐさま頭角を現して8月の全日本学生選手権で優勝し、学生の頂点に立った
(右写真=決勝もスタンド戦で優位を取り試合のペースをつかんだ)。もっとも内村は、「(グレコローマンに定評のある)日体大が不出場の中での優勝でしたから」と、素直に喜べなかったという。だからこそ、日体大が出場した中で学生二冠を達成し、うれしさは倍増した。

■フリースタイルの最後の目標は、「学生の世界一」

 内村の次の試合は、今月26日から始まる世界学生選手権(イタリア・トリノ)。そこでは、フリースタイルに出場する。「本来、小田選手が第一候補でしたが、(アジア大会出場のため)辞退しました。第2候補の田中幸太郎(早大)は66kg級に階級変更したので、僕に代表権が回ってきました。棚からぼた餅ってやつです(笑)」とおどけたが、大学3年間、青春を費やしたフリースタイルに、もちろん愛着はある。

 グレコローマンで学生の頂点、フリースタイルでは世界学生の頂点を奪って、「気持ちよく卒業する」ことが内村の狙いだ。

 そのあと、12月の全日本選手権で在学中最後の大会に挑む。スタイルは、もちろんグレコローマン。同級は今年、松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)が世界2位となり、レベルが一段と上がった階級だ。「全日本選手権では、自分の力を少しでも見せたいです。そして“グレコローマンの内村”の存在感を見せたい」と力強く宣言した。



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