【記録】前川勝利(茨城・霞ヶ浦)は“史上5人目”の高校五冠王者【2010年10月7日】
10月1〜4日に千葉・佐倉市民体育館で行われた千葉国体の少年男子グレコローマン120kg級で、前川勝利(茨城・霞ヶ浦=右写真)が優勝。全国高校選抜大会、JOC杯ジュニアオリンピック(ジュニアの部)、インターハイ、全国高校生グレコローマンに続き、今年5個目の全国タイトルを獲得した。
年間に出場できる全国大会すべてに優勝することは至難の業だが、その中のJOC杯ジュニアオリンピック・ジュニアの部の優勝は、大学生に混ざっての闘いを勝ち抜いての優勝。これを考えると、この五冠獲得は、過去、のべ4人しか達成していない快挙となり、前川が史上5人目となる。
全国高校生グレコローマン選手権がスタートしたのが1985年、JOC杯ジュニアオリンピックが始まったのが1993年であるから、「高校五冠王」という呼称は、1993年以降に限られる。当初のJOC杯はエスポワール(17〜20歳)に大学生選手、ジュニア(17〜18選手)に高校生選手が出場していた。したがって、高校生にとって年間の5大大会は、すべて高校生間での闘いであり、この時代には1995年の大橋理秀(大阪・吹田=68・74kg級)と長島康弘(群馬・館林=88・115kg級)の2選手が五冠王を達成している。
しかし1997年に年齢区分がジュニア(18〜20歳)、カデット(16〜17歳)と変更されてからは、状況が変わった。カデットは主に高校1・2年生の大会となり、2年生にとっては勝ちやすい大会となったが、他の4大会では1学年上の選手のいる闘いとなる。逆に、3年生は高校の4大会で優勝することができても、JOC杯ジュニアの部で優勝するには、大学2年生、最高で早生まれの大学3年生を含めた闘いに勝ち抜かねばならない。
前者も快挙だが、体力的、技術的にシニアの域に近づいている大学2・3年生のいる闘いに勝ち抜く高校生のすごさは特筆ものだろう。これを達成したのは、1997・98年の松永共広(静岡・沼津学園=46kg級)、1998年の小幡邦彦(茨城・霞ヶ浦=76・90kg級)、2006年の梶雅晴(兵庫・育英=50kg級)ののべ4人。2008年北京五輪で銀メダルを取った松永は、シニアにはない階級の49kg級だったとはいえ、高校2年生にしてJOC杯ジュニアの部を含めた五冠王を達成している。
過去の高校五冠王達成選手は下記の通り。
年 | 選 手 | 所 属 | 階 級 | JOC杯 |
1995年 | 大橋 理秀 | 大阪・吹田 | 68・74kg級 | ジュニアの部(17〜18歳) |
〃 | 長島 康弘 | 群馬・館林 | 88・115kg級 | ジュニアの部(17〜18歳) |
年 | 選 手 | 所 属 | 階 級 | JOC杯 |
1997年 | 松永 共広 | 静岡・沼津学園 | 46・49kg級 | ジュニアの部(18〜20歳) |
1998年 | 松永 共広 | 静岡・沼津学園 | 46・49kg級 | ジュニアの部(18〜20歳) |
〃 | 小幡 邦彦 | 茨城・霞ヶ浦 | 76・90kg級 | ジュニアの部(18〜20歳) |
2000年 | 鈴木 崇之 | 京都・立命館宇治 | 63kg級 | カデットの部(16〜17歳) |
2002年 | 高塚 紀行 | 茨城・霞ヶ浦 | 58kg級 | カデットの部(16〜17歳) |
2005年 | 永田 裕城 | 京都・網野 | 74kg級 | カデットの部(16〜17歳) |
2006年 | 梶 雅晴 | 兵庫・育英 | 50kg級 | ジュニアの部(18〜20歳) |
2008年 | 北村 公平 | 京都・京都八幡 | 74kg級 | カデットの部(16〜17歳) |
2010年 | 前川 勝利 | 茨城・霞ヶ浦 | 120kg級 | ジュニアの部(18〜20歳) |