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【特集】峯村亮(神奈川大職)が国体初制覇! トルコでの単身武者修行が実った【2010年10月5日】

(文=増渕由気子、撮影=保高幸子)




 千葉国体の最終日、成年グレコローマン55s級は峯村亮(神奈川・神奈川大職)が初優勝を遂げた。今回は全日本王者の長谷川恒平(静岡・福一漁業)が60s級に出場しており、王者不在の中、きっちりと下馬評どおりに優勝してみせた(左写真=峰村と神奈川大・吉本収監督)

 峯村は、大学時代の2007年学生二冠王者に輝き、現在同級で絶対王者の長谷川に次いで国内2番手の地位を築き上げている。だが、いつまでたっても「2位」という印象も。

 峯村自身も、“シルバーコレクター”の地位に焦りを感じてきた。長谷川は昨年、アジア選手権を含む国際試合で4大会連続優勝。世界選手権こそメダルを逃しているが、全日本コーチからは「五輪の出場レベルはクリアしている」と太鼓判を押されているほどまでに成長している。

■今年のアジア選手権で、長谷川および世界との差を痛感!

 今年5月、峯村に転機が訪れた。アジア選手権(インド)の軽量級に、日本協会は全日本選手権の2番手を主に派遣することを決めた。峰村は「巡ってきたチャンス」と意気込んだが、結果は初戦敗退。「この結果では、恥ずかしくて日本に帰れない…」。自分が長谷川にも、世界にも遠く及ばないことを痛感した。「このままではオリンピックに行けない。勝負をかけるためにも変わらなくては!」
(右写真=今年5月の全日本選抜選手権で長谷川と闘う峯村)

 日本でナンバー2の地位は絶対的なもの。これ以上強くなるには何が必要かと考え抜いた峯村が選んだ道は、海外への武者修行だった。「ヨーロッパでグレコローマンが強い国に行きたいと探していたら、レスリング部の先輩がトルコの大使館に勤めていたんです」。これを頼りに、神奈川大職員を休職し、日本協会に頼み込んでトルコのクラブチームを紹介してもらった。

 8月上旬から国体の直前までトルコに単身で渡った。「英語はまったく通じないので、トルコ語を独学で勉強しました。現在は『アスキ』というクラブチームで練習を行っています。トルコは今年の世界選手権でもグレコローマンで団体2位の成績。本当にいい練習になります」。

■決勝ではトルコ仕込みのリフト技を披露

 今回の国体で早くも武者修行の成果を発揮。今まではガッツレンチで勝負を決めることが多かったが、決勝ではリフト技も展開。「持ち上げないとトルコ人には通用しないんです」と、欧州仕込みの技が増えていた。

 今回の帰国は国体出場のため。「10月上旬から12月の上旬まで、またトルコに行きます」と、12月の天皇杯全日本選手権に照準を合わせて、再び日本を発つ。「来年の世界選手権はトルコのイスタンブールですよね。そこに、自分のクラブチームの仲間たちと一緒に出ることが、来年の目標です」。ロンドン五輪への気持ちは本気だ
(左写真=国体を制覇し、次は全日本王者へ挑む峰村)

 今年12月、トルコ遠征の成果が再度実るか―。



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