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【特集】厳しかった3年8ヶ月ぶりのマット!しかし、レスリングへの情熱は変わらず…宮田和幸(Brave)【2010年10月2日】

(文・撮影=増渕由気子)



 2000年シドニー五輪フリースタイル63s級代表で、現在はプロ総合格闘家の宮田和幸(Brave)が、ゆめ半島千葉国体に3年8ヶ月ぶり2度目のレスリング復帰参戦を果たした。

 成年フリースタイル66s級にエントリーし、1回戦の宇野浩幸(山形・神町自衛隊)ではテクニカルフォールでストレート勝ち(TF7-1=0:47,TF7-0=1:16)を収めたが、2回戦では大会2連覇を狙う金渕清文(青森・光星学院高教)に0−2(0-1,0-1)で敗れ、上位進出はならなかった
(右写真)

■国体を迎える地元の盛り上がりに、レスリング復帰を決意

 宮田は現在、千葉県松戸市在住。千葉国体の開催が近づくにつれ、地元の盛り上がりを感じたようだ。千葉国体の人気マスコット「チーバ君」
(右写真)は子供たちにも大人気。「チーバ君がいる国体で勝つことが、全日本選手権で勝つよりもすごいことのように感じているみたい」と、地元の熱気で宮田の気持ちがもう一度、レスリングのマットへ向いた。

 これがきっかけで、千葉県代表として国体出場が実現。2007年1月に行われた全日本選手権での復帰参戦は74s級での出場だったが、今回の“自分の階級”での出場。もちろん「優勝するため」。6日前にプロの試合があったばかりで(判定勝ち)、「減量がしやすかった」という。

 宮田が主催する格闘技ジムのキッズ教室の生徒たちも応援に駆けつけた中で行われた1回戦。宮田は開始早々から攻撃的な姿勢で、両足タックルにアンクルホールドと次々と決め、教科書のような試合運び。第1・2ピリオドともテクニカルフォールで圧勝した
(左写真)。「僕はプロなので魅せる試合をしたかった」と本人も満足した内容だった。

■昨年王者に善戦するも、第1・2ピリオドとも終了間際に失点

 だが、2回戦の2001年63s級全日本王者である金渕との対決では、「何もできなかった」と、0−2のストレートで敗れてしまった。第1ピリオドから金渕の組み手に翻ろうされ、タックルで切り崩せない。終盤、片足タックルで場外に出され、コーションを受けてしまって1失点
(右写真)。第1ピリオドを落としてしまった。

 第2ピリオドも後半までは0−0の展開が続いたが、ラスト10秒、金渕が両足タックルを一閃! 宮田はこらえ切れずに痛恨のテークダウンを喫し、0−1で惜しくも敗れた。「現役時代のライバル。記憶では負けたことないんだけど…。対戦するなら、もっと若い世代の選手とやりたかった。(金渕の)得意技も飛行機投げとか分かっていたが、組ませてもらえなかった」とちょっぴり悔しそうに振り返った。

 宮田は元五輪レスラー。レスリングがいかに厳しい世界なのか、誰よりも知っている。生半可な気持ちで参戦して勝てるほど甘くないことを承知の上で、今回、2度目の復帰を果たした。今回は、“子供たちのヒーロー”チーバ君の国体の大会に出て子供たちに雄姿を見せること」が出場する主な理由だった。

 今後のレスリングへの参戦は「基本的にはない」と否定した。だが、別の角度からはレスリング界にものすごいアプローチをかけている。それがキッズ指導だ。「自分のクラブにすごくいい女子選手がいる。その子達をオリンピック選手に育てます!」ときっぱり。プロ活動に、アマの指導。宮田和幸の挑戦は果てしなく続いていく―。



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