▲一覧ページへ戻る


【特集】ラスト1秒の逆転優勝! 地元国体へ弾みつけた66kg級・亀井駿斗(千葉・野田中央)【2010年8月19日】

(文=樋口郁夫)



 全国高校生グレコローマン選手権の66kg級は、10月に千葉国体を控える千葉の亀井駿斗(野田中央=右写真)が、決勝で金光輝明(兵庫・育英)をラスト1秒で逆転優勝。地元国体へ向けて同県を勢いづけるとともに、自身のレスリング人生で初の全国一を達成した。

 今年4月のJOC杯カデット69kg級で2位になったり、6月の関東高校大会グレコローマン69kg級で優勝したりしているが、全国一になったのは、小学校2年の時に松戸ジュニアでレスリングを始めて以来、これが初めてという。「ずっと目標にしてやってきたので、うれしいです」と顔をほころばせた。

■絶体絶命のピンチでも、「1パーセントの可能性にかけた」

 最後の最後の逆転優勝だった。ピリオドスコア1−1のあとの第3ピリオド、スタンド戦の1分30秒は0−0で終わった。第1・2ピリオドの内容で、相手にグラウンド攻防の選択権があり、防御を選択した。攻撃する亀井は、30秒の間にポイントを取らなければ負けとなるケースだった。

 必死に攻める亀井。しかし、ガッツレンチをこらえられ、立ち上がられてしまって組み合いへ。両差しだったとはいえ、この段階で残り時間は5秒ほどで、ポイントを取るのは九分九厘不可能かと思われた。

 しかし、その体勢から投げを仕掛けると相手のバランスが崩れ
(左写真)、バックを奪った。その直後にタイムバトンが投げられ、勝利が決まった。

 執念の優勝にマットをガッツポーズで回る亀井。「やるしかないケース。最後の1秒まであきらめずに仕掛けた」というラストの攻撃。「負けるかも」という気持ちも脳裏をよぎったようだが、「最後の最後まで、1パーセントの可能性にかけました」と言う。

■7月下旬には元世界チャンピオンから指導を受ける

 第2ピリオドのグラウンドの防御の時には豪快なバック投げを受けてしまい、このピリオドを落とした。「グラウンドは弱いです。あそこを守っていれば(第3ピリオドにもつれることなく)自分の勝ちだったのに…」と振り返る。見事なバック投げだっただけに、気持ちの落ち込みも懸念されたが、切り替えられたのは、間もなく迎える地元国体への熱い思いか? 

 7月下旬には、東京・味の素トレーニングセンターで合宿させてもらい、JOCアカデミーの江藤正基・専任コーチ(1983年世界選手権グレコローマン57kg級優勝)からグレコローマンの指導を受ける機会にめぐまれた。これも実力アップに役立ったと振り返る
(右写真=ラスト1秒で優勝を決めガッツポーズ)

 「高校に入る前から、3年生の時に地元で国体があることを知っていて、目標にしてやってきた。高校最後の大会でもあるし、全力で頑張ります」。10月には、3年間の集大成の成績を残すことができるか。



  ▲一覧ページへ戻る