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【特集】守り切れなかった最後の1秒…男子フリースタイル66kg級・米満達弘(自衛隊)【2010年9月13日】

(文=保高幸子、撮影=矢吹建夫)




  金メダルを取る準備はできていた。しかし、強豪ひしめく男子フリースタイル66kg級。昨年3位の米満達弘(自衛隊)の世界選手権は初戦敗退。敗者復活戦にも回れず、2ピリオドで終止符が打たれた。

 守り切れなかった最後の1秒だった。相手は2007年世界2位で、北京五輪5位の実力者、ヘアンドリ・ハルゾン・カバレロ(キューバ)。初対戦で、米満が「やりにくい相手だったですね。タックル入るまではよかったですが、入ってから…、張り付いてくるような感じで」と語るように、タックルにいってもいってもポイントにつながらない。

 第1ピリオドは、攻めの勢いで場外に出てしまった失点で0−1。そして第2ピリオド、先に1点を取られた米満が、残り10秒というところで正面タックルを決めて同点に追いつく。第2ピリオドを獲得したも同然と思われたが、ブレーク直後、相手の飛び込むようなタックルで、残り1秒で1失点
(右写真)。1−2の悔しい敗戦となった。

 米満は「自分の感覚で、守れるな、という距離でした。でも、予想以上の動きをされて、対応できなかった。欧州の選手とも違うタイプでした」とうつむく。

■もっと多くの選手と闘う経験が必要

 今回の相手はまったく届かない相手ではなく、経験不足も大きな要素だと言う。2008年北京五輪の1位と2位が1,2回戦で敗退し、昨年の世界チャンピオンもファイナルに残れなかったほど選手層が厚い階級。「まだやってない選手がたくさんいます。どんな選手からもポイントを取れる技は課題です。いろんな選手とやる経験は必要かなと思います」と言う。

 昨年から行っている体幹トレーニングの成果は感じたようで、「(相手の)崩し、押し、プレッシャーにかからなくなりました」と、昨年との違いは感じている。2ヶ月後に迫るアジア大会。2009年世界王者のメフディ・タガヴィ・ケルマニ(イラン)、今回の大会で優勝したクマール・スシル(インド)など、勝たなくては2012年ロンドン五輪の金メダルは見えてこない選手がひしめく。

 「今回の悔しさをバネに、優勝してきたいです」と、次回こそは金メダルと意気込んでいる米満。来年はアジア王者という肩書きをひっさげて世界に勝負をかけてほしい。



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