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【特集】予想以上だった初出場の緊張…男子フリースタイル84kg級・松本篤史(ALSOK)【2010年9月12日】

(文=保高幸子、撮影=矢吹建夫)




 「世界は…、全然違いました」。男子フリースタイル84kg級の松本篤史(ALSOK)の世界選手権は、3回戦(2試合目)敗退。敗者復活に望みをかけたがかなわず、2試合で終わった。

 初出場の緊張は想像していたよりも大きかった。「1試合目は何をしているのか分からなかった」というほど、初戦のジェラルド・メイヤ(南アフリカ)戦はマットに足がついていなかった
(左写真=第1ピリオド、正面タックルにいくも、バランスを崩し逆に3失点)。第2・3ピリオドで何度かタックルに入り、かろうじて勝ったものの、負けるはずのない相手に対し、第1ピリオドはボロボロだった。

 メシエイ・バラウェンダー(ポーランド)との3回戦も緊張を引きずったまま迎え、ストレート負け。その直後、松本がこぼしたのは「自分が弱かったです。もつれてからも(弱かった)、自分から攻撃しなかったことも…」という言葉だった。しかし、極度の緊張状態でなければ負ける相手ではない。

■「オリンピックだったら、もっと緊張する」…ALSOK・大橋正教監督

 「よいところは、なかったです」と言うが、苦手だったタックルに果敢に挑戦した姿には、昨年のアジア選手権(初戦敗退)よりも成長が見られた。残念なのは試合中に混乱していたように見えたこと。落ち着いて攻めていれば、と悔やまれる。タックルについても、「返されるのを恐れて、練習してきたことを出せなかった」と言う。

 自分の技に自信をつけなければ、得点につなげることは難しい。練習を重ねることで、それは身に付いていくだろう
(右写真=3回戦、タックルにいっても決め切れず、両者に2点が入る)

 現地入りしているALSOKの大橋正教監督は「オリンピックだったら、もっと緊張する。課題は、何をするべきかしっかり決めてマットに上がること。持ち味を出さずに負けてしまった」とコメントした。

 まずは自分のできることを全て出し切ることが、世界で闘っていく松本に必要なことだ。若いうちにこの経験をできたことが、松本の来年、そして2012年ロンドン五輪へ向けての大きな糧となることを願いたい。



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