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坂本日登美(自衛隊)が金メダル、堀内優(日大)は銀メダル…世界選手権第3日【2010年9月9日】



 【モスクワ(ロシア)】世界選手権第3日は9月8日、ロシア・モスクワで男子グレコローマン1階級、女子2階級が行われ、女子48kg級の坂本日登美(自衛隊)が優勝(右写真)、51kg級の堀内優(日大)が銀メダルを獲得した。男子グレコローマン74kg級の金久保武大(マイスポーツ)は3位決定戦で敗れ5位に終わった。

 女子48kg級の坂本は、2回戦であわやフォール負けというピンチを迎えながらもフォールで勝ち上がり、3回戦で北京五輪金メダリストのキャロル・ヒュン(カナダ)を2−0で撃破。準決勝で今年の世界軍隊選手権優勝のイウォナ・マトコウスカ(ポーランド)を2−0で破り、4試合で1ピリオドも失わずに決勝進出。昨年2位で今年の欧州チャンピオンのロリッサ・オーザク(ロシア)と闘い、第1ピリオドを取られるスタートで苦しい闘いながらも、第3ピリオドをテクニカルフォールで勝ち、優勝を決めた。

 坂本は2008年に51kg級で優勝して以来、2年ぶり7度目の優勝。女子で7度の世界一(五輪・世界選手権)は、吉田沙保里(ALSOK)の9度に続き、伊調馨(ALSOK)の7度と並んで史上2位タイの記録(注=現段階。伊調がこの大会で優勝すれば、史上3位へ)。世界選手権だけでの7度優勝は、現時点で吉田と並んで史上最多。

 女子51kg級の堀内は初戦の2回戦で昨年の世界チャンピオンのソフィア・マットソン(スウェーデン)を2−1で撃破。3回戦、準決勝とも勝ち抜いた。決勝は昨年3位のオレクサンド・コート(ウクライナ)と対戦、第1・2ピリオドとも0−0のあと、クリンチの防御となり、ともに落として0−2で敗れた
(左写真)。第2ピリオドのクリンチは、逆転したかと思えたが、相手のテークダンを優勢ととられ、納得いかない判定だった。

 男子グレコローマン74kg級の金久保は、2006年アジア大会王者のロマン・メリョシン(カザフスタン)を含め4試合に勝って準決勝まで進んだ。しかし、北京五輪10位で昨年の欧州王者のアルセン・ジュルファラキャン(アルメニア)に敗れて3位決定戦へ。2007年アジア選手権王者のダニアル・コボノフ(キルギス)に0−2で敗れ、メダルに手が届かなかった。

 男子グレコローマンはこの日で終了。日本のメダルは、前日の60kg級で松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)が獲得した銀メダル1個に終わった。国別対抗得点は15点で10位。優勝は「金1・銅4」で46点のロシア、2位はトルコ(32点)、3位はアゼルバイジャン(26点)だった。

 各選手の成績は下記の通り。




 ◎男子グレコローマン

 
【74kg級】金久保武大(マイスポーツ)       5位=39選手出場

■1回戦 ○[フォール、1P1:06]Tebitara Katea Ueresi(ソロモン)
 
《試合経過》金久保は第1ピリオドの開始からラッシュ。8秒に場外に押し出したあと、18秒に一本背負い。がっちり押さえこみ、時間はかかったが、最後はフォール。

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■2回戦 ○[2−0(1-0,2-0)]Petros Manoulidis(ギリシャ)
 
《試合経過》第1ピリオド、金久保はスタンド戦で1点を取り、そのままのスコアでこのピリオドを先制。第2ピリオドは0−0のあと、グラウンドの攻撃へ。しっかりと返して2−0とした。

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■3回戦 ○[2−0(2-0,1-0)]Alexsandr Kazaevic(リトアニア)
 《試合経過》第1・2ピリオドともスタンド戦は0−0。先にグラウンドの攻撃となった金久保は、クロスボディロックから転がすようにして返して2点を奪取。第2ピリオドは防御となり、終了のブザーとともにリフトを受けてしまった。時間内か終了後かでもめたが、最後は終了後とみなされ、金久保に1点が入った。

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■4回戦 ○[2−1(2-0,0-1,3-0)]Roman Melyoshin(カザフスタン)
 
《試合経過》第1ピリオドのスタンドは0−0。グラウンドの攻撃となった金久保は、クロスボディロックからがぶり返しにつなぎ、2点を奪取。このピリオドを先制。第2ピリオドはスタンドで0−0のあと、グラウンドの防御となった金久保がリフトされた。必死にこらえて投げられなかったものの、コレクトホールドで1点を取られ、ピリオドスコア1−1へ。

 第3ピリオド、金久保が25秒に一本背負いを決めて3−0。そのままのスコアで試合終了。3−0で勝った。

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■準決勝 ●[0−2(0-4,0-1)]Arsen Julfalakyan(アルメニア)
 
《試合経過》第1・2ピリオドともスタンド戦は0−0。先にグラウンドの防御となった金久保は、ガッツレンチを2回転受けてしまい、0−4。第2ピリオドの攻撃では、クロスボディロックからのがぶり返しがすっぽ抜けてしまってスタンド戦へ。ポイントをあげることができず、0−1で敗れた。

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■3位決定戦 ●[0−2(0-1,0-1)]Daniar Kobonov(キルギス)
 《試合経過》第1ピリオド、開始早々に組みつかれた金久保は、そり投げを受ける。必死にこらえて投げられるのを拒んだが1失点。そのままのスコアでグラウンドの防御となり、このピリオドを落とした。第2ピリオドはスタンド戦を0−0。クロスボディロックでグラウンドの攻撃を開始した金久保だが、がぶり返しをこらえられ、立ち上がられてスタンドの闘いへ。必死に攻撃したがポイントを取れず、0−1で敗れた。




 ◎女子

 
【48kg級】坂本日登美(自衛隊)       優勝=25選手出場

■1回戦 ○[フォール、1P1:10(F9-0)]Ingrid Xiomara Medrano Cuellar(エルサルバドル)
 《試合経過》第1ピリオド開始早々、坂本が相手の左脚への片足タックルからガッツレンチ。19秒で3−0へ。さらに左脚を取り、一気にニアフォールへ。そのまま押さえ込み、最後はフォール勝ち。

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■2回戦 ○[フォール、1P1:16(F6-4)]Khrystyna Daranutsa(ウクライナ)
 
《試合経過》第1ピリオド、腕を取って攻めようとした坂本だが、タイミングよく返され背中からマットへ。あわやフォール負けのピンチに陥ったが、こらえてバックへ(1−3)。ブレークの後、45秒にタックルを決め、やられた怒りを爆発させるかのようにがっちりと押さえ込み、フォールを決めた。

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■3回戦 ○[2−0(2-0,3-0)]Carol Hyun(カナダ)
 《試合経過》第1ピリオド40秒、坂本が左脚へのタックルで1点を先制。中盤すぎにも1点を加えた。第2ピリオドは相手のタックルをかわし、15秒で坂本が1点を先取。40秒に正面タックル、1分34秒にもタックルをかわしてバックを取り、4−0とした。

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■準決勝 ○[2−0(4-0,1-0)]Iwona Nina Matkowska(ポーランド)
 
《試合経過》第1ピリオド24秒、坂本が正面タックルで1点。1分にも正面タックルからニアフォールへもっていき、5秒以上押さえて2+1点で4−0。第2ピリオドは57秒にバックへ回り、1−0として残り時間を振り切った。

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■決勝 ○[2−1(1-2,1-0,TF6-0=1:52)]Lorisa Oorzhak(ロシア)
 《試合経過》第1ピリオド41秒に坂本が回り込み、1点を先制。しかし1分40秒、カウンターで技を受けて倒され2失点。1−2でこのピリオドを落とした。第2ピリオドは坂本が7秒にテークダウンを奪って1−0。終盤、危ない場面もあったが、この1点を守り切った。

 第3ピリオド、0−0で試合が進んだあと、44秒に坂本の正面タックルが決まって2点。5秒ルールで1点が加わって3−0とし、残り時間は39秒。終盤、相手は逆転のがぶり返しを狙ったが、坂本がこらえ、体を預けて2+1点。6−0のテクニカルフォール勝ち。




 【51kg級】堀内優(日大)        2位=20選手出場

■1回戦  BYE

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■2回戦 ○[2−1(0-1,1-0,1-0)]Sofia Mattsson(スウェーデン)
 《試合経過》第1ピリオド、0−0で試合が進み、終盤、片足タックルを仕掛けたマットソンが粘り強く攻めて1点を取り、このピリオドを先制。第2ピリオドは中盤に堀内が片足タックル。両足に持ち替えてかかえ上げ、貴重な1点を取った。

 第3ピリオド、堀内の片足タックルをマットソンが柔らかい体でかわし、0−0で試合が進む。1分40秒、堀内が右足へ片足タックル。16秒後に場外へ出した。グラウンド状態の場外だとしてスウェーデンからチャレンジが出されたが、認められず、1−0で堀内が勝った。

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■3回戦 ○[2−0(5-0,2-0)]Anzheia Dorogan(アゼルバイジャン)
 《試合経過》第1ピリオドの中盤、堀内が片足タックル。こらえられたがしつこく攻め、ニアフォールを続けて5−0。第2ピリオドも終盤にタックルで一気に2点を取り、2−0のスコアのまま勝った。

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■準決勝 ○[2−0(1-0,3-0)]Roksana Marta Zasina(ポーランド)
 
《試合経過》第1ピリオド、堀内は右足への片足タックル。なかなか倒れてくれなかったが、最後はテークダンを奪って1−0。第2ピリオドは0−0で試合が進んだあと、1分28秒に片足タックルとガッツレンチで3点を取って勝負を決めた。

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■決勝 ●[0−2(0-1=2:09,0-2=2:11)]Oleksandra Kohut(ウクライナ)
   《試合経過》第1ピリオドは2分間を0−0。新ルールで赤の堀内が引いたボールは青が出て、クリンチは相手の攻撃。テークダンを奪われた。第2ピリオドも2分間は0−0。コートの引いたボールは青。クリンチで再び防御となった堀内は、間一髪で耐えて逆にバックを取ったかに見えたが、審判団の判定はコートのテークダン。日本陣営はチャレンジしたが、判定は覆らなかった。



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