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【特集】63s級の高橋海里奈(早大)が集大成の初優勝! “早大・女子レスリング部”が強化のカギ【2010年8月29日】

(文・撮影=増渕由気子)



 全日本学生選手権(インカレ)の女子63s級は、早大の高橋海里奈(右写真)が初優勝した。女子が五輪競技になり、2004アテネ五輪金メダルの原動力となった中京女大(今年4月から至学館大)以外にも、ここ数年で本格的に女子強化に取り組み始めた大学は多くなった。

 早大もその一つ。2005年に中田絵里子が入学。女子部員として本格的に競技部員になったのは初のことだった。高橋は2007年に、早大女子部員の二期生として48s級の西のどかとともに入部した。練習は男子に混ざっての練習。「男子の中の一人という感じだった」と高橋は振り返る。

 力が圧倒的に強い男子とは、パワーをつけるにはもってこいだったが、その分、無理にパワーでねじ伏せられてケガをするリスクも高い。妥協せずに練習を積んでも、昨年のインカレは女子だけで練習を積んでいる佐藤文香(中京女大=現至学館)に黒星。勝ち切れなかった。

■中京女大(至学館大)の女子だけの練習を見て方向転換

 そんな早大に転機が訪れた。昨年3月に中京女大に遠征に行った時のことだ。太田拓弥コーチは「世界チャンピオンの吉田沙保里(ALSOK)や、西牧未央(現至学館大学院)がリーダーシップを取って気持ちの入った練習をしていた。やはり、女子は女子だけで輪になってやる必要があるな」との感想を持った。

 早大は今季、女子部員1人が入部。全学年で女子部員が在籍するようになり、部員も6人と増えた。これをきっかけに強化方針を一新。「週2回は男子と合同ですが、基本的に女子中心でやるようになりました」(高橋)。そこに、OBの中田絵里子や近隣の大学の女子選手が参加してくる。女子だけで質の高い練習が積めるようになった。

 今大会、やっとつかんだ優勝
(左写真)に「女子だけの練習が優勝につながったと思う」と高橋。確かに男子の中の女子だと、年間計画も男子中心になってしまう。女子は男子に比べて試合数が少ないため、男子の試合前は男子のサポートなどに時間を割かれることもあった。

 時にはマネージャーのような存在になる時も。中京女大や環太平洋大など、女子のみで行っている大学に、そういう点で差をつけられていたことは事実だ。

 “早大・女子レスリング部”の創設−。女子の群雄割拠の時代は始まったばかりだ。



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