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【特集】新潟国体への強化が今年も花開く…滝澤廉太郎(北越)、笹川久志(白根)が優勝【2010年8月20日】

(文=樋口郁夫)
 


 全国高校生グレコローマン選手権最終日は、昨年の国体開催地の新潟から、74kg級の滝澤廉太郎(北越)と84kg級の笹川久志(新潟・白根)の2選手が決勝へ進出し、ともに優勝。国体へ向けての強化の成果が今年も花開いた。ともに、全国タイトルは初めてとのこと(写真右が滝沢、左が笹川)

■昨年2位の雪辱果たした滝澤廉太郎

 74kg級の滝澤は昨年の2位に続く優勝。山本将吾(岡山・笠岡工)との決勝戦を、グラウンドの防御でしっかり守り、攻撃では確実にローリングでポイントを取るという理詰めの展開で勝ち、「初めての優勝。とてもうれしいです。(まだ全国一の経験がないので)試合前は1位になるイメージが全然湧かなかったんですよ」と、夢心地の心境を表現した。

 理想的な展開だった決勝に比べると、準決勝の山原健太(京都・京都八幡)との試合は苦しい展開だった。「グラウンドの攻撃は得意なんですが、返せなくて…」と、第3ピリオドのボールチョイスにまでもつれ、守り切っての勝利だった。得意な展開へ持ち込むことができないでの勝利で、「悔しいです」とさえ口にする。初の全国一とはいえ、反省点の残る優勝だった。

 昨年は1年上の花山和寛(愛媛・八幡浜工=現早大)に敗れての2位。今年の沖縄インターハイは3位。「今度こそ」というモチベーションは十分にあった。グレコローマンが得意というわけではないが、「グラウンドにちょっとだけ自信がある」という武器が、グレコローマンで光り、この栄光につながったようだ
(左写真=優勝を決めてガッツポーズの滝沢)

 中学時代は全国大会2位が最高。そこから全国一に登り詰めたにあたり、「監督、コーチ、両親、OBの人達、(キッズクラブ「アンビション」の)長谷川監督らの支えがあってこそです。それらがなければ、この優勝はなかったです」と、サポートしてくれた人への感謝の気持ちを忘れなかった。

■最後30秒を必死に守り切って優勝を手にした笹川久志

 84kg級の笹川は、準決勝で沖縄インターハイで団体・個人通算で10戦全勝をマークしてW優勝した松野祐也(茨城・霞ヶ浦)、決勝で沖縄の新星・与那嶺竜太(浦添工)を破っての優勝。決勝の第2ピリオド終了時には、いったん負けとなったが、チャレンジ(ビデオチェック判定)によって判定を覆して第3ピリオドへ。最後のグラウンドの防御30秒を守り切って
(右写真)の優勝という薄氷を踏む思いで勝ち取った栄光だった。

 「ぎりぎりの優勝。焦りもあったけど、最後はしっかり守ることができたので」と、内容に不満はあっても最後の30秒を守り切ったことには満足の様子。この時には、ガッツレンチで肩が返ったと相手陣営からチャレンジが要求されたが、「しっかり守れたと思っていた」と言う。

 グレコローマンは決して多く練習していたわけではないので、「気持ちだけは負けないように」と言い聞かせての大会だった。インターハイ王者の松野と相対した時など、全身から漂う王者の貫録の前に「最初は勝てるという気持ちがしなかった」そうだが、「勝つという気持ちを振り絞って頑張りました」。しかし、決勝の相手の与那嶺の闘志は「すごかった。自分はあそこまで出せていたかな?」と振り返り、もっと闘争心を表に出して闘う必要性を感じたようだ。

 滝沢同様、お世話になった人への感謝の気持ちを口にした笹川は、フリースタイルの方が得意なので、国体はフリースタイルで出場する予定。「インターハイはベスト8で終わりましたので、(同じフリースタイルで)リベンジしたい」。松野も与那嶺もフリースタイルで出てくることが予想されるので、再び厳しい闘いが予想される。全国チャンピオンの自信をもって、どう挑むか。

 国体へ向けての強化が実っている新潟県。それを今年までにしてはならない。来年以降、どんな強豪を輩出してくれるか楽しみだ。



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