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【特集】混戦を抜け出し、坂本日登美のが城へ迫れるか?…女子48kg級・長沼美香(至学館大)【2010年7月8日】

(文=樋口郁夫)
 

 坂本日登美(自衛隊)の現役復帰により、2012年ロンドン五輪でも金メダルが期待できる階級となりそうな女子48kg級。ジュニアでも、三村冬子(日大)が2年連続で世界一に輝き、日本の伝統を守るべく奮戦してきた。

 今年の世界ジュニア選手権48kgに出場するのが長沼美香(至学館大2年=
右写真)。国内でもライバルは多く、断トツの日本代表というわけではないが、9月初めの「スポーツ・アコード・コンバットゲームズ」(中国・北京)の代表にも抜てきされ、ジュニアのみならずシニアでも大きなチャンスを得た。大舞台出場をきっかけに、同世代のライバルを一気に引き離すことができるか。

 これまで、2007年アジア・カデット選手権(優勝)、2008年アジア・ジュニア選手権(3位)に出場したほか、2007年クリッパン国際大会カデット(2位)、2008年同(3位)、2009年ノードハーゲン・ジュニア(優勝)、同年カルガリー・オープン(優勝)など欧米の選手が相手となる大会にも出場し、結果を残してきた
(左写真:2008年クリッパン国際大会で銅メダルを取って帰国した長沼=右。優勝した宮原優や浜田千穂=左と中=に比べると表情が沈んでいた)

 「世界」という名のつく大会はそれらとちょっぴり違い、「緊張しています」と言う。しかし、「勝ちたい」ときっぱり。全日本合宿では、「同じ階級の選手には負けたくない」という気持ちが以前にも増して出てきたそうで、これまで以上に充実した合宿をこなしている。

■JOC杯の初戦で、一度も勝ったことのない明尾弥紀を破る!

 女子レスリングの初期に活躍した足立美穂選手(1994年47kg級世界チャンピオン)のいた岐阜・羽島市連盟で小学校4年生の時からレスリングを始めた。キッズ時代は「勝っていません。選手が少なくての優勝とかはありますが…」と謙そんするが、最後の年の2002年には全国大会で優勝している。

 中学時代は全国大会無冠だったが、岐阜・岐阜工高では2007年にJOC杯ジュニアオリンピック・カデットで優勝。最終学年の2008年全日本女子選手権カデットでも優勝することができた。全国高校女子選手権での優勝こそなかったものの、優勝する喜びを知り、大学へ進んででもレスリングを続ける気持ちになった。

 時に中京女子大(現至学館大)の練習に参加しており、栄和人監督からのスカウトもあって日本の最強大学でレスリングをやることになった。「(吉田)沙保里さんみたいに、世界で闘って勝てるようになりたかった」と言う。

 そんな気持ちとは裏腹に、最初は「先輩はもちろん、後輩(至学館高の選手)にも勝てなかった。朝練習でも周りについていくことができなかった。練習が嫌だった」という。それでも、強豪にもまれていけば、自然と実力を伸びていくし、「負けたくない」という気持ちも芽生えていく。

 今年4月のJOC杯ジュニアオリンピックでは、初戦で昨年の学生チャンピオンの明尾弥紀(環太平洋大)を撃破する殊勲を挙げた。昨夏の全日本学生選手権では負けており、3週間前のジュニアクイーンズカップでも惜敗した相手だ。

 栄監督や吉田栄勝コーチなどからは「負けていない」と言われ、「次に闘う時には絶対に勝つ」という気持ちで練習に打ち込んだ。その気持ちが結実しての初勝利。必死で練習に打ち込んだ末の勝利だけに、この1勝は大きな自信になり、続く2試合にも勝利。オリンピック・ゴールドメダル賞を受賞した
(右写真:決勝で阿部千波を破った長沼=青、撮影=保高幸子)

■混戦を抜け出して、坂本日登美のが城に迫れるか

 その原動力は、中京女大で指導を受けた成果だったと分析する。「今までのレスリングでは通じない、と言われ、自分のレスリングを変えてもらいました。ツーオンワン(両手で相手の片腕をつかんで攻める)ばかりやっていたのが、動きながら攻めるレスリングになりました。相手の攻撃をこらえる時のこらえ方とかも…」。

 全日本のトップレベルになれば、猛練習による体力と自信だけでは頭打ちとなってしまう。勝つためには、より細かくハイレベルな技術が必要になってくる。世界で通じる選手を大量に輩出してきたチームだけに、それを身につけるのに不自由しない。「中京女大での1年間の成果だね」という問いに、「そうでうね」とうなずいた。

 今月の世界ジュニア選手権では、そのテクニックが通用するかどうかを試すことになる。「外国選手のパワーと勝負してはダメだと言われています」と警戒しつつ、身につけた技を試す腹積もりだ。これまで外国選手に負けたのは2008年アジア・ジュニア選手権でのカザフスタン選手だけ(クリッパン国際大会での2敗は、ともに日本選手に負けたもの)。外国選手に対する恐怖心はなく、思い切ったレスリングができそうだ
(左写真=全日本チームの菅平合宿で練習する長沼)

 目標は言うまでもなくオリンピック。5月の全日本選抜選手権で、復帰参戦した坂本日登美を見て、「勝ちたいという気持ちが出てきました」と言う。合宿で手合わせしてみて大きな実力差を感じるものの、「2年後までには…」と、きっぱり挑戦を宣言−。

 48kg級は、坂本が大きく抜け出している以外は横一線状態。次代のホープと思われていた三村冬子も、今年の全日本選抜選手権ではつまずいてしまい、初戦敗退だった。混戦の中から抜け出して坂本に迫るのはだれか。「12月(全日本選手権)には、決勝に残って(坂本と)闘いたい」と長沼。そのためにも、今夏、2度にわたる世界の大舞台で成績を残し、実力をアピールしたい。



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