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全日本女子チームが長野・菅平で合宿スタート【2010年6月25日】


 「攻めないんだったら、スパーリングなんてやらなくていい! 腕立て伏せをやってろ!」−。栄和人・女子強化委員長(至学館大教)の怒号が響き渡った。世界選手権(9月6〜12日、ロシア・モスクワ)の日本代表を含む全日本女子チームが6月23日、長野・菅平で合宿をスタート(右写真)。24日、報道陣に練習を公開した。

 菅平は1979年に男子が合宿を実施して以来、高地および自然の中での体力つくりを目的に、ほぼ毎年実施してきた。女子は新潟・十日町市を自然環境の中での練習拠点としており、菅平での合宿は今回が初めて。栄委員長が現役時代、ここで汗を流し、きつい中でさらに追い込んで練習を続けて世界3位や五輪代表を勝ち取ったことから、「女子も高地トレーニングが必要」と考えて実施した。

 宿舎の菅平プリンスホテルとマットのある体育館は標高1300メートル。体力トレーニングの行われる平原の菅平ダボスはさらに約100メートル高い場所にあり、体力トレーニング、マットワークともに平地以上に息が上がる。トレーニングのメニューは、900メートルのインターバル走5セットに始まり、坂道ダッシュ20本、2人組になっての補強トレーニングなど。「男子の全日本チームと同じだけのものをやっている」(栄委員長)というが、「初めての場所だし、きつかったと思う。しかし、あと5日間、がっちりと練習させる」と厳しく話した。

■きついけれど、新鮮な気持ちで練習に打ち込める

 選手は23日の練習開始のマットワークでも高地特有のきつさを感じたそうだが、24日朝の体力トレーニングで「山をダッシュで登った時、特にきつく感じた」(55kg級・吉田沙保里=ALSOK綜合警備保障)など、朝練習で高地を実感した様子だ。

 しかし、素晴らしい展望の菅平ダボスでの練習に、「景色がよく、違った気持ちで練習できる」(吉田)と新鮮な気持ちを持ったもよう。「足腰が鍛えられる。しっかりと体力強化に励みたい。北京五輪前の世界選手権では6試合勝たなければならなかった。優勝するには体力が必要」と話し、「体力は年齢ではなく、気持ちの問題が大きい。気持ちをしっかり持って体力強化に励みたい」と力をこめた。

 72kg級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)は「(高地トレーニングは)きついと聞いていたけど、本当にきつかった」と苦笑い。しかし、「空気がおいしくていい。東京(在住)なので、こうした自然の中で練習できるのは幸せ」と言う。昨年1年間は全日本チームを離れてレスリングを見つめ、「あらためてレスリングに出合えてよかった」と感じた。全日本合宿に参加できる喜びも感じているようで、「いろんな技を試して、世界選手権へ向かいたい」と言う。

 浜口と同じく今年から全日本チームに合流した63kg級の伊調馨(ALSOK綜合警備保障)は、今月11日に痛めていた左手首に内視鏡を入れて治療し、練習を休んでいたので、高地ということ以上に久しぶりの練習ということで緊張感があったという。「まず体力を戻したい」と、体力回復がこの合宿のテーマで「すぐに息が上がり、いい練習環境です」と話した。

 なお、24日の朝練習は、5月の十日町合宿を見学したバンクーバー冬季五輪スピードスケートの女子団体パシュート銀メダリストの小平奈緒さん(相澤病院)が結城匡啓コーチとともに参加。選手と一緒に汗を流した。

 合宿は28日まで行われる。

吉田沙保里 浜口京子 伊調馨


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