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【特集】主力1人欠いても団体優勝の霞ヶ浦! 今夏も強さ吹き荒れるか【2010年6月7日】

(文・撮影=増渕由気子)




 昨年インターハイV20を達成し、高校レスリング界に不滅の金字塔を打ち立てた茨城・霞ヶ浦が、関東大会でもその力を発揮して学校対抗戦優勝を飾った。だが、今大会は圧勝とまではいかず、初日が終わった時点で優勝の可能性は50パーセント。フリー74s級全国選抜王者の坂本悠太がけがで欠場したのが大きく響いた。

 柱が1本抜けた霞ヶ浦は、66s級の井出倫太郎(主将)、84s級の松野裕也、96s級の長知宏、120s級の前川勝利と4人が決勝へ駒を進め、そのうち松野と前川が優勝したが、昨年まで磐石だった軽量級はは振るわなかった。

 霞ヶ浦の得点は52点で、2位の花咲徳栄は44点。やや追い上げられての優勝だったわけで、大沢友博監督は「一人いなくなっても勝つくらいでなくては…」と話す一方、8月のインターハイへ(沖縄・石垣島)の仕上がり具合を問われると、「このままだと厳しい」と口を真一文字に結んだ
(左下写真:選手を激励する大沢監督=右)

 だが、主力一人を失っても優勝を勝ち取った霞ヶ浦の地力は、目を見張るものがある。井出主将は「坂本がいない分、みんなで団結して闘った。課題の軽量級も、55s級と60s級は伸びてきている」と評価した。

 さらに明るい話題もある。昨年末に体調不良で最悪なシーズンスタートを迎えた全国高校選抜王者の前川勝利が、完全に本調子に戻ったことだ。一時は体重が激減し、10kg級以上もやせ細ってしまったが、体重も元に戻った様子。今大会も全試合フォールかテクニカルフォールで仕留めた。

 前川は4月末のJOC杯ジュニアオリンピックで大学生を退けて優勝。7月の世界ジュニア選手権(ハンガリー)の出場権を獲得した。8月上旬のインターハイと時期が近く、出場回避も予想されていたが、「24日にハンガリーから帰国するので、世界ジュニア、インターハイともに出場します」と宣言。五冠王者はもちろん、世界での結果を残して、日本協会が表彰する年間最優秀選手を狙う腹積もりだ。

 今大会は、明暗がくっきり分かれてしまった霞ヶ浦の選手たち。8月には心一つにして、21度目の全国制覇を狙う。



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