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【特集】テコンドーの岡本依子さんが来場、全日本女子チームにエール【2010年5月28日】

 

 5月23日から新潟・十日町市の桜花レスリング道場で合宿している全日本女子チームは27日、練習を報道陣に公開するとともに、テコンドーで2000年シドニー五輪で銅メダルを取るなど五輪に3度出場した岡本依子さんが来場(右写真:岡本さん=中央=と選手たち)。テコンドーの動きを取り入れた韓流エクササイズ「ネリチャギ・ビューティー」(左下写真)の指導を行った。

 岡本さんの所属している株式会社インディ・アソシエイツの舘昭利社長と日本協会の栄和人・女子強化委員長(至学館大教)のパイプで実現した“コラボレーション”。吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)ら五輪代表選手とは、五輪のチームメートということで顔見知り。浜口京子(ジャパンビバレッジ)とは東京五輪の招致活動で行動をともにした仲でもある。何の違和感もなくチームに溶け込んだ。

 午前中は雨にもかかわらず外でランニングなどのトレーニングを強行したチームは、午後練習で、これまで経験したことのないテコンドー流のエクササイズに挑戦した。

 練習前は、「足が上がるかな?」といった不安を口にする選手もいたが、エクササイズが始まると必死になって岡本さんの動きを追う。慣れない突き(パンチ)や蹴りのアクションが続いたが、バランスを保ちながらも必死についていった。ミットに突きや蹴りを入れる練習では、猛練習のうっぷんを晴らすかのように(?)、見事なパフォーマンスを見せる選手もいて、その度に拍手が沸き起こった。

■レスリング選手の体力のすごさを絶賛

 その後は吉田とレスリングの練習に挑戦。吉田の片脚を取った状態からスタートしてテークダウンを奪う“対戦”をしたが、吉田は倒れず、その強さを実感した様子。吉田のタックルを受けてみて、「ネコのようなタックル。早かった」と舌を巻いた。

 岡本さんは「レスリング選手はバランスがいいですね。体幹がしっかりしている」と、慣れない動きにもかかわらず体の軸が崩れない選手達の動きを絶賛。「同じ格闘競技でも全く違う競技と思っていたけど、共通点はありますね」と話した
(左写真=吉田相手にタックルを体験した岡本さん)

 選手時代に、韓国のあらゆる競技のトップ選手が集まっているテヌン村で練習したことがあり、全競技の選手が一堂に集まってやる朝練習にも参加した。その時、近くの山を往復するランニングでトップを走っていたのがレスリング選手だったという。レスリング選手の体力のすごさは知っていたが、マット上での練習を通じてあらためて感じたようだ。

 「ご縁があって練習に来ることになりました。日本の女子レスリングは世界最強と聞いています。最強チームとして、ロンドン五輪では全階級で優勝してほしいです」と期待した。報道陣からレスリングのマスターズ大会への出場を勧められると、「テコンドーの練習もやっていないのに、できるわけないじゃないですか」と大笑い。

 栄和人強化委員長は「女子レスリングは、いろんな競技の人から注目されている。結果を出しているからだ」と話し、伝統を受け継いでいかねばならないことを選手に訴えた。

■五輪選手や世界チャンピオンの参加する合宿で熱気は十分

 「ネリチャギビューティー」のあと、チームは普通の練習を開始。昨年の桜花レスリング道場での合宿にはいなかった浜口京子、伊調馨(ALSOK綜合警備保障)といった五輪選手もいる“女子レスリングらしい合宿”が展開された。

 今年の主将に指名された吉田は「オリンピック選手がいると、盛り上げ方が違ってムードが高まる」と話す。若手の多かった昨年より熱気のある練習が展開されているようで、「いい練習ができています。明日の9kmマラソン(注=合宿最終日恒例の山道マラソン)をしっかりやって打ち上げたい」と話した。

 今年の世界選手権のチーム目標は、「大風呂敷を広げてもよくないので」と前置きし、「全員がメダル獲得」。個人の目標は、五輪を含めて10度目の世界一に輝いて「アレクサンダー・カレリンの記録に近づくこと」を挙げた。

 昨年のここでの合宿にはコーチとして参加していた48kg級の坂本日登美(自衛隊=
右写真)は「最初にここに来たのが18歳の時。あれから11年経って、まだ選手をやていることが驚きです」と笑う。51kg級の選手として参加していた合宿とは「やりがいが違う」そうで、「練習がきつくて嫌になった時、今感じているうれしさや幸せを思い出してやっていきたい」と言う。

 全日本選抜選手権では減量がスムーズにいき、体重を落とすことへの不安はなくなった。世界の48kg級での闘いには不安が残るものの、「それを感じないだけの体力と自信をつけて世界選手権へ臨みたい」という。

 そんな坂本に対し、吉田主将は「すごい精神力の持ち主なので、とても心強い。(最初に闘う)48kg級の選手が結果を出せば、チームが盛り上がります」と期待を寄せた。




CDの音楽に合わせてテコンドー韓流ダイエット「ネリチャギビューティー」に挑戦した選手 中段パンチを放つ浜口京子
前蹴りを試みる甲斐友梨 島田佳代子の見事なかかと落とし 吉田沙保里に挑んだ岡本さん

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