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【特集】連覇の夢断たれた拓大だが、気持ちを切り替え年間三冠王へ挑戦【2010年5月22日】

(文=保高幸子、撮影=矢吹建夫)
 

 拓大の東日本学生リーグ戦2連覇の夢が、決勝で断たれた。相手は昨年と同じ早大。今年は早大の胴上げを見る立場となってしまった(右写真=連覇ならず、無念の須藤元気監督と西口茂樹部長)

 須藤監督は「総力で早大が勝っていました。62年ぶりの優勝、おめでとうございますという気持ちです」と相手を祝福し、「軽中量級で4つとりたいところだったんです。でもボールピックアップの運や、ルールもある。誰が駄目だったとかではありません。みんなベストを尽くしました。選手は本当によくやったと思います」と自軍選手をねぎらった。

 その言葉通り、決勝は緊張感のある激戦が続いた。まず55kg級の中野裕仁が2−1で粘り勝ちし、前日まで不調かと思われた74kgの高谷惣亮が本来の調子を取り戻して早大スーパールーキーの北村公平にフォール勝ち。チームスコア2−2となった時には、チームの熱気は最高潮に
(左写真=高谷がチームスコアを五分に戻したが…)

 しかし、その後は全敗で、チームスコアは2−5とされてしまった。96kg級の試合終了のホイッスルが鳴って敗戦が決まると、歓喜に沸く早稲田を尻目に、拓大サイドでは選手たちの大粒の悔し涙が光っていた。須藤監督が「この大会の緊張感は特別ですから」と話すように、悔しさも大きかった。

 “大将戦”の120kgでは、1年生の村木孝太郎を起用。1年生ながら、決勝出場を想定して特訓していたという。結果、試合中のケガにより棄権することとなったが、1年生でこの緊張感の中で出場したことだけでも大収穫だろう。

 あこがれであり、昨年はあと一歩の迫っていた年間の団体戦四冠制覇(東日本学生リーグ戦、全日本学生王座決定戦、全日本大学グレコローマン選手権、全日本大学選手権)。その夢は、今年はもうかなわないが、チームは次のステップへ動き出した。試合直後、須藤監督は「気持ちを切り替えるんだ」と伝えた。

 「みんなよくやった。こんどは去年の自分たちに負けないよう、三冠をまた取ろう!」。明日からは三冠に向けてまい進する。それ以外に、この悔しさを払いのける手段はない。


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