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【世界選手権代表決定選手】女子72kg級・浜口京子(ジャパンビバレッジ)【2010年5月4日】

(文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)
 

 女子72kg級全日本チャンピオンの浜口京子(ジャパンビバレッジ)がこの大会も制して、14度目となる世界選手権代表の座を獲得した(右写真=鈴木を破り世界選手権へのキップを手にした浜口)

 「奇跡としか言いようがない」という感想を語った浜口。2008年の北京五輪で、五輪2大会連続で銅メダルを獲得し、同年秋から休養。モチベーションも上がらず、一時は引退も考えた時期があったというから、また世界の舞台へ戻れることが本人にとっては“奇跡”という表現になったのかもしれない。

 周囲のサポートがあったことで現役続行を決意したものの、昨年は全日本選手権前に左足の親指を骨折。「闘いの神様から見放された」と思ったこともあったようだ。だが、全日本選手権で復活優勝を遂げ、世界選手権に何が何でも出場するために、この大会に出場してきた。

 この日の試合は2試合だったが、2試合とも楽勝と言える内容ではなかった。決勝戦の鈴木博恵(立命館大)戦は、ボールピックアップで鈴木に優先権を取られて第1ピリオドを奪われてしまった。ところが、経験値で浜口の方が鈴木よりも数倍上であることは事実。第2ピリオドは鈴木をいなすと、バックに回って1ポイント、鈴木のタックルを切ってバックに回って1ポイント奪い、このピリオドを制すと、第3ピリオドは左足タックルから場外へ出て、ラストポイントで試合を決めた。

 「今日は優勝できたから自分に100点をあげたい。たくさんの方たちの応援に勇気づけられ、万全の状態で試合に臨むことができました。世界選手権に向けて、心技体を磨いて世界王者を目指します」

 一度は気持ちが萎えてしまったが、闘争という本能が冬眠していたに過ぎなかったのだ。浜口が言うところの“奇跡”が見られるのは、9月のロシアということになりそうだ。


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