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【世界選手権代表決定選手】女子63kg級・伊調馨(ALSOK綜合警備保障)【2010年5月4日】

(文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)
 

 女子63s級は、伊調馨(ALSOK綜合警備保障)が全日本選手権に続いて制し、3年ぶりの世界選手権代表の座を手に入れた。決勝の相手は“ママで金メダル”を目標に昨年復帰した山本聖子(スポーツ・ビズ)。伊調と山本は全日本選手権では準決勝で対戦し、伊調が同級五輪V2の意地を見せて勝利していた。山本のリベンジはならなかった(右写真=決勝で山本を破って優勝した伊調)

 昨年は姉千春とともにカナダ遠征を敢行した伊調。その姉が青森に戻ってしまったたことで、馨にとっては練習環境も変わっていった。「北京五輪前は、千春と一諸に練習することがモチベーションになっていた。今は一人になってしまったので、大学や自衛隊に出げいこに行かせてもらっています。男子の方々と練習することで、手や指の使い方、技の奥深さを改めて学ぶこともできました。千春とは一緒に練習できなくなりましたが、私が活躍すると、千春や両親も喜んでくれる。それがモチベーションになっています」

 そんな一人での闘いが続く妹・馨のことを、姉千春は語る。「ロンドン・オリンピックを目指すという気持ちは一緒ですが、一生ずっと姉妹で練習していけるわけではないので、お互いにとって良い機会だと思っています。一緒にマットに上がっていた時はカオリン(馨)の弱い部分など見えたこともなかったのですが、今日、観客席から見ていて弱気な一面を感じました」

 そんな馨だが、世界の檜舞台で活躍するべく、強気な試合を心がけて決勝戦に臨んだ。第1ピリオドは両者ポイントなく、ボールピックアップで山本が優先権を得たものの、伊調が守り切って延長戦を制した。第2ピリオドは山本が動いた。両足タックルを仕掛けるが、伊調がこのタックルを切ってバックに回って1−0とする。ここから伊調がまたさきでポイントを重ね、4−0。そして1分37秒、フォ―ル勝ちを決めた。

 「今の私の受けるレスリングでは世界で勝つのは難しい。攻めるレスリングができるように世界選手権までたくさん練習します」。世界選手権では、ニュースタイルの伊調馨が見られそうだ。


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