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【世界選手権代表決定選手】男子フリースタイル74kg級・長島和幸(クリナップ)【2010年5月2日】

(文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)
 

 男子フリースタイル74kg級で盤石の強さを見せていた長島和幸(クリナップ)が、全日本選手権に続いて今大会も制し、2年連続の世界選手権行きを決めた。誰もが認める文句なしの大会制覇であるが、長島にはそろそろ“国内敵なし”というキャッチフレーズを卒業してもらい、“世界で通用する頼れる男”というキャッチフレーズがつくことを願ってやまない。

 国内敵なしを印象づけるように、長島は決勝戦まで無難に勝ち上がった。1回戦のグラウンドの攻防で相手のかかとが左目の上を直撃して負傷というアクシデントもあったが、そんな事故も杞憂(きゆう)に終わった。

 この日、唯一の危なかった場面は、決勝の高橋龍太(自衛隊)戦の第1ピリオドのみ。高橋の執ような右足へのタックルで1ポイント先制されたが、長島は焦ることなく次のタックルを返して1−1の同点へ。すぐにグラウンドでローリングを決め、3−1で第1ピリオドを取った
(右写真=ローリングがさえた長島)

 第2ピリオドの高橋の片足タックルにもすばやく反応し、テークダウン〜ローリング〜ローリングというコンビネーションを見せて“国内絶対王者”を証明してみせた。「個人的には調子は良くなかった。ローリングを仕掛ける時に声をあげたのは気合いを入れるためです。ローリングは勝負どころで仕かけようと思っていました」

 長島にはこのローリングという武器があるが、世界のひのき舞台で爆発し切れていないのが現状だ。「海外遠征に行ってみて感じるのは、パワーの部分では勝てないというか、勝負できない。攻撃のスピードを上げたり、精度を上げることで世界と渡り合いたい」と言う。

 長島は2008年の北京五輪出場の夢がついえた瞬間から、「世界で勝つのが目標」と言い続けてきた。今年は有言実行の年になる!


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