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【世界選手権代表決定選手】男子フリースタイル66kg級・米満達弘【2010年5月2日】

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)
 

 男子フリースタイル66s級は世界3位の米満達弘(自衛隊)が世界メダリストのレベルを見せつけて優勝した(右写真=プレーオフの第1ピリオド、池松を攻める米満)

 昨年、世界選手権初出場でつかんだ銅メダル。だが、その後の全日本選手権は右肩の負傷により欠場した。その復帰戦となった今大会は、決勝までの3試合がすべて元全日本王者との対決。米満の真価を問うには絶好の組み合わせとなった。1回戦は2005年優勝の佐藤吏(ALSOK綜合警備保障)、準決勝は2008年優勝の小島豪臣(K-POWERS)、決勝は昨年優勝で、2004年アテネ・2008年北京両五輪代表の池松和彦(池松オリンピックレスリングアカデミー)。

 一見して半年間の治療による休養を余儀なくされたように思える米満だが、「体幹を鍛えるなど、レスリング以外にやることはたくさんあった」と焦りを感じるひまはなかったようだ。さらに、「得意なことは、練習をしなくてもできる」とタックルの切れは休養前と変わない鋭さ。1回戦から得意技を存分に見せ付けた。

 不戦勝を除いて過去全敗の小島にも、「相手のペースに乗らず、我慢した」と仕掛けるタイミングを見計らって初勝利。苦手選手を払しょくしたあとの池松との決勝は、出会い頭に正面タックルを受けた以外は米満の“ワンマンショー”。池松のうまい返し技なども、冬場に仕込んだパワーでねじ伏せ、決勝、プレーオフともにストレートで制した。

 「今年は世界選手権で優勝します」と胸を張って宣言した米満。新旧3人の全日本王者に勝つという文句なしの優勝。それは“米満時代”の到来を意味していた。


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