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【特集】66s級でも強い! 階級アップの田中幸太郎(早大)が連覇でJOC杯獲得【2010年4月26日】

(文=増渕由気子、撮影=保高幸子)
 

 “和製ジョン・スミス”の異名を持つ田中幸太郎(早大)が、JOC杯ジュニアオリンピックの男子フリースタイル66s級で優勝。大会連覇を達成するとともに、MVPとなるJOC杯を受賞した(右写真)

 賛否両論の階級変更だった。田中は高校2年で55kg級の高校三冠王(全国高校選抜大会、インターハイ、国体)に輝き、エリート街道を走ってきた。その後、60s級に上げ、早大に進学。ルーキーイヤーも、JOC杯ジュニアオリンピック優勝、全日本学生選手権でも2位と結果を残してきた。

 その矢先の階級変更。同階級で十分に世界を狙える素質もあったため、反対する声も少なくはなかった。しかし、減量は常に8kgほどあり、きつい状況だった。田中は階級アップを決心した。

 そのため、2009年の締めくくりとなる12月の全日本選手権にエントリーできなかった。66s級の出場権がなかったのだ。全日本選手権の1ヶ月前にあった東日本学生秋季新人戦で出場権利(優勝)獲得を目指したが、失敗。60s級での出場権利はあったものの、66s級にふさわしい体を手に入れるために、それを放棄し、肉体改造を中心とした半年を過ごした。

 「新人戦で負けてから、期間がありましたので、冬の間練習を積んで、(66s級で戦える)自信がついてきました」。以前より一回りほど大きな肉体を手に入れた田中は、無敵の強さを示した。決勝では、神奈川大の長谷川公俊をストレートで破った。「来週の全日本選抜選手権にはずみがつきました」と手ごたえをつかんだようだ(同選手権には、協会推薦で出場)。

 今シーズンの目標は、「66s級で戦える土台を作ること」。同世代を相手にした階級アップは無事に成功を収めたが、同階級の昨年世界3位の米満達弘(自衛隊)や、2006年アジア大会銀メダルの小島豪臣(K-POWERS)に比べると、体つきが小さいのは本人も認めるところ。国内では学生の大会を中心に、海外では7月の世界ジュニア選手権(ハンガリー)を一つのヤマ場として照準を定め、2012年ロンドン五輪につながる基礎を築くつもりだ。


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