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【特集】米満、怒とうのタックルで衝撃のアジアデビュー! 120s級の荒木田も表彰台へ【2009年5月6日】

arakida

 アジア選手権(タイ・パタヤ)第5日が5月6日、当地のアンバサダ・シティホテル・パタヤで行われ、男子フリースタイルの全日程が終了した。昨年のアジア選手権では55s級で優勝、60s級で準優勝など多くのメダルを獲得し、”お家芸”の強さを見せ付けた日本。新生ジャパンもメダルラッシュを狙ったが、優勝はなく、66s級の米満達弘(自衛隊=写真左)が銀メダル、120s級の荒木田進謙(専大=写真右)が銅メダルと入賞は2階級だった。だが、佐藤満男子強化委員長(専大教)は、「結果は出なかったけど、アジアの選手に劣っているとは思わなかった」と今後の強化へ手ごたえをつかんだようだ。


米満、しなやかなタックルで鮮やかなテークダウン

 昨年から国際大会で優勝など結果を出している55s級の湯元進一(自衛隊)が、けがのためアジア選手権を欠場することが決まると、昨年12月の全日本選手権で初優勝を飾って、アジア選手権代表入りを決めた米満がチームの新エースの座についた。

 大陸選手権初出場にもかかわらず、米満は、初戦から面白いようにタックルが決まった。相手を完全に持ち上げてからの確実にテークダウン。ダイナミックな技を何度も決めた。準決勝まで、カウンターでバックに回られ失点したのは、3回戦(韓国戦)の第1ピリオドの1回だけ。それ以外に入ったタックルはすべて成功させた。圧巻だったのは、韓国戦の第3ピリオド。4本のタックルを鮮やかに決めてテクニカルフォール勝ちで決勝進出を決めた。内容・結果ともにそろわないと満足しない米満が久しぶりに、「うれしかった」と勝ち名乗りで笑顔を見せた。

 2006・07年の60kg級世界ジュニア王者で66kg級北京五輪10位のタグハビケルマニ・メハディ(イラン)との決勝戦でも、タックルで米満は先取点を奪った。だが、 「組み手がない外国人にタックルは決まったが、イラン戦では組み手がうまくて入れなかった」とタックルを封じられてしまった。ポイントもリードされた第2ピリオドのラストで米満は巻き投げを打つが不発。ボールピックアップによる勝負でイランにテークダウンを許して優勝を逃した。

 金メダルが目標だっただけに、銀メダルに終わったことは、ストイックな米満には満足できなかったかもしれない。だが、「タックルが通用したことは自信になった」と、世界選手権出場に向けていいステップになったようだ。

 6月には世界選手権初出場に向けて、ライバルの小島豪臣(K−POWERS)との闘いも控えている。世界で戦えるめぼしがついただけに、一度も勝ったことがない小島の壁をどう乗り越えるかが、米満の”試練”になりそうだ。


佐藤監督のおひざ元、専大の荒木田が120s級で銅メダル獲得

 米満の衝撃のデビュー戦は新生ジャパンのコーチ陣をうならせた。だが、55s級、60s級と日本の”お家芸”の階級でメダルを逃し、昨年に続く国別対抗戦の団体優勝が絶望的になってしまった。その中で、最後に意地を見せたのが、120s級の荒木田だった。

 初戦で昨年アジアジュニア5位のナム・キュンジンに完敗した荒木田だったが、ナムが決勝に進出したため、敗者復活戦へ。敗者復活第1戦はイラクにストレート勝ち。3位決定戦は、中国のヘイ・イサハベイを1ピリオドで小手投げからフォール勝ちを収めて、男子フリースタイル陣2個目のメダルをもぎとった。

 元アジアジュニアチャンピオンと世界ジュニア3位の肩書きを持つ荒木田だが、北京五輪予選代表として臨んだ昨年のシニアの国際大会では結果が出なかった。さらにけがによる練習不足だったこともあり、アジア選手権での目標は「5位以内」と控えめだった。やっと結果を残したことで、「シニア初メダルですよ」とご満悦だった。この勢いで世界でも上位進出を狙う。

(文・撮影=増渕由気子)