女子59s級で優勝した伊藤(左から2番目)
【パタヤ(タイ)】アジア選手権は5月5日、アンバサダ・シティホテル・パタヤで第4日が行われた。
女子のしんがりを務めることになった59s級・伊藤友莉香(環太平洋大)は、初戦からエンジン全開。失点はしたものの、シニア初参戦とは思えないほどの試合を展開。準決勝のモンゴル・バットセトセグ戦では、開始早々にテークダウンを奪い、ローリング3回でテクニカルフォール。第2ピリオドではフォールを奪った。
決勝戦でも中国の・ジャ・メイをテクニカルフォールで下して、初出場、初優勝を飾った。これで、女子は出場した全階級でメダルを獲得。ただ、51s級の棄権が響いて、国別対抗戦のポイントでは中国に及ばず2位となった。日本女子が団体優勝を逃すのは、2001年、2007年以来3度目。
男子フリースタイル66s級・米満達弘(自衛隊)は、2回戦から登場し、中国のヘイ・ジリブーを得意のタックルで下すと、3回戦も難なく突破。準決勝の韓国・キム・ダイスン戦は、第1ピリオドでタックルに失敗しバックとローリングを許し、ピリオドダウン。第2ピリオドは片足と両足タックルと1つずつ決めて2−0とし、終盤の韓国の追い上げを紙一重でかわした。第3ピリオドは米満の”タックルショー”となり、4本のタックルを鮮やかに決めて、決勝進出! 勝ち名乗りのときに、久々に笑みを浮かべた。
男子FSで銀メダルの米満(左端)
決勝では、2006・07年の60kg級世界ジュニア王者で66kg級北京五輪10位のタグハビケルマニ・メハディにストレートで敗れたものの、銀メダルを獲得。男子フリースタイル陣ではメダル第1号となった。
男子フリースタイル55s級・清水聖志人(フリー)は、初戦で世界ジュニア3位のダムディン・バザール(モンゴル)と対戦。2回戦はベトナムのファン・ダク・チャンと闘い、勝利を得たが、いずれも失点が目立った。
決勝をかけて韓国の北京五輪代表のキム・ヒョウサブと対戦したがストレートで敗退。3位決定戦にまわったが、まさかのフォール負けでメダル獲得はならなかった。
男子フリースタイル60s級・前田翔吾(日体大)は、シニアの公式国際大会初参戦だが、3回戦まで勝ち抜いた。準決勝では、キルギスのバザルグルエブにパワーの差を見せ付けられてストレート負けした。前田も3位決定戦に挑んだが、2007年のアジアチャンピオンのバザルグルエヴ・バザル(キルギス)に1−2で敗れた。
(文・増渕由気子)
開始早々、片足タックルからテークダウン。相手が起き上がってきたところを利用して、ニアフォールで2点。スタンドに戻るとがぶってから、相手のしたからの力を利用して、バックに投げる。そのとき、伊藤の背中もマットにつき2−2になるが、そのまま押さえて終了のブザーと同時にフォール勝ち。
開始早々、バックを奪って1得点。そのまま3回ローリングを回して終了。第2ピリオドは、テークダウンに行くときに腕を取られて、3点を奪われるが、体制を立て直して2点を返し、最後はフォール勝ち。
世界ジュニア3位のモンゴル選手を相手に清水は序盤から、がぶりにいくが、次の手が出ない。中盤、がぶり返しを打ったところを乗られて2失点でピリオドをダウン。第2ピリオドは、がぶりからバックに回って1点を奪取。第3ピリオドは、バックポイントを奪って勝利した。
フェイントを使って相手を動かすが、逆にタックルに入られ、吊り上げられて3点を失う。再び相手が投げに来たところを返して3点。その後、ニアフォールに持ち込んで終了間際にフォール。
北京五輪代表のキムに第1ピリオド開始早々、タックルを取られて失点。終始押されてストレート負け。
第1ピリオドの中盤にタックルから1点。ローリングは不発に終わるが、リードしたまま終了。第2ピリオドは、フェイントを効果的に使って、相手を落としてバックに回ると、アンクルホールドで2点追加、その後もタックルで追加点を稼ぎ、最後はアンクルからニアフォールで2点追加。7−0でテクニカルフォール勝ちを収めた。
開始早々、タックルを入って1点。その後ローリングで追加点を稼いでテクニカルフォール。第2ピリオドも両足タックルから突破口を開いて、ポイントを稼ぎ勝利した。
3回戦も米満のタックルが炸裂した。相手に1本も入られることなく、片足、両足タックルで何度も相手を持ち上げて、勝利した。
第1ピリオド、得意のタックルで相手を場外へ押し出して1点。だが、その後は生命線のタックルをイランの組み手で封じられ、バックに回られる。ラストポイントでピリオドダウン。第2ピリオドも、好調だったタックルを出せない米満はクリンチ勝負を避けて、残り10秒で巻き投げを出すが無得点。クリンチとなり、優先権を得たイランが無難にテークダウンした。