男子両スタイルの全日本チームが１月24日、東京・ナショナルトレーニングセンター（ＮＴＣ）で今年２度目の合宿をスタート。全日本選手権１・２位選手を中心に50選手が集まり、１人最高で６試合の練習試合を行った。また、初めて報道陣に練習を公開した。合宿初日に体力測定、または練習試合というのは、合宿参加にあたり各所属できちんと練習してきてもらうための佐藤満強化委員長（専大教）の方針。これまで合宿初日は午後３時ころに集合し、練習を開始するのが普通だったが、今回は同強化委員長の「より実戦に近い練習をする」という方針のもと、午前８時に集合し（地方の選手は前日に集合）、９時から練習試合を開始した（右写真＝３面マットでのべ130試合以上を実施）。
「世界選手権の開始は午前９時。（宿舎から体育館に）移動してきて試合を行う」という理由からで、午前中に３試合を行い、休けいのあと、午後４時から再び３試合と、世界選手権で試合が行われる時間に合わせた。
１日６試合という試合数も、「世界選手権で優勝するには１日６試合を勝ち抜く必要がある」という理由から。世界選手権を念頭においた練習で、審判も、審判委員会の協力のもとにＡ級審判の３人（うち２人は国際審判員）が来てくれた。これも本当の試合に近い緊張感を持ってもらうための措置だ。
佐藤強化委員長は「『（１日６試合の）試合の方が楽だ』と口にするくらい、日ごろから厳しい練習を課したい。今までと同じことをやっていたら金メダルは取れない。今まで以上のことをやる。まあまあの練習なら、やらない方がいい」と話し、厳しさを前面に打ち出した。
参加した全日本チャンピオンの最年長（27歳）で、主将としての役目を指名されたフリースタイル74kg級の長島和幸選手（クリナップ＝左写真の前列左端）は「合宿初日から試合をやって、楽という選手はいないと思う」と、初めて初日から午前午後にわたってエンジンを全開させた合宿を振り返る。しかし「試合をやってこそ、やるべき課題が出てくる。スパーリングでは時間配分や駆け引きの面が分からない」と、その効果を話す。試合を通じて早くも課題が見つかった様子だ。新体制は、「若いコーチが多く、コミュニケーションがとりやすい。佐藤委員長は１人１人に大声で指導してくれ、やる気を後押ししてくれる」と話す。ベテラン選手に対しても一切の特別待遇はしないという同委員長の方針に対しては、「勝負の世界、年齢は負けた理由にならない。負けたらやめるだけ。全日本チームに入る以上、厳しい練習は覚悟している」ときっぱり。
ただ、若い時は栄養や休養が目茶苦茶でも平気だったのが、今はそうでないことを感じている。「ふだんの生活をきちんとし、体を大切にしていきたい」と話し、厳しい練習に対する“備え”をしっかりやって、ロンドン五輪までの道を歩むつもりだ。
合宿は28日まで。なお、世界選手権までの全日本チームの合宿・遠征予定は下記の通り（期日は変更される場合があります）。
