学生選抜チームが米国から帰国【2009年2月12日】



 米国へ遠征していた男子の学生選抜チームが2月11日、成田着のユナイテッド航空で帰国した。

 メダル獲得はフリースタイル55kg級の守田泰弘(日体大)ただ1人で、やや厳しさに直面した感のある遠征。フリースタイルの安達巧コーチ(日体大監督=全日本学生連盟次期強化委員長予定、右写真の右から2人目)は「シニアの遠征は初めてという選手も多かったので、やむをえない部分はある。守田や84kg級の松本篤史(日体大=4位)ら全日本選手権の上位に食い込んだ選手は結果を出した。その部分は評価したい」と総括した。

 6位に終わったものの74kg級の奈良部嘉明(山梨学院大)の内容も「腕取りや差しをしっかり使い、外国選手との闘い方を示してくれた」と評価した。外国選手のパワーを封じ、タックルを生かすためにこうした技術が必要で、これの足りない選手は結果を出していないという。今後の学生選手の課題であり、学生の合同練習や合宿などでしっかり鍛えたいという。

 グレコローマンの馬渕賢司コーチ(中京学院大監督)は、標高の高い場所での試合であり、初めての経験の選手は「スタミナ的に苦しかったと思う」と、メダル0に終わった選手をかばう一方で、「全体的にパワーが足りない。重量級は差しやツー・オン・ワンを使って相手を動かすことが必要」と振り返った。

 技の仕掛けで思い切りが足りないことも指摘した。「外国選手は思い切りがある。失敗してポイントを取られても、すぐに取り返す姿勢がある。日本選手は(技の失敗を)恥ずかしがるのか、思い切りがない」と言う。「グレコローマンのルールが変わるが、基本は体力と勝ちにいく気持ち。きれいな技でなくてもいいから、アグレッシブにポイントを取りにいく姿勢がほしい。ふだんの練習からこの気持ちがなければ、試合では絶対に出ない」と語気を強めた。

 唯一メダルを取った守田(左写真)は「初戦で負けたが、気持ちを切り替えることができた。動きもよくなった」と“勝因”を振り返る一方、「(1回戦の相手のインド選手=最終的に5位=は)強いとは思わなかった。日本選手とは違うスタイルに戸惑った」と悔しそう。体が柔らかく、やりづらかったという。

 しかし、「他の試合以上に、一番の勉強になった試合」だという。経験したことのないタイプと試合ができたことで闘いの幅が広がりそう。1日5試合をこなしたことも国内では経験のなかったこと。しかも、午前の部、午後の部に分かれて試合をする世界選手権方式。「貴重な経験をしましたね」という言葉は、気持ちは世界選手権出場へ向いているからか。

 同時期にトルコで行われた「ヤシャ・ドク国際大会」で55kg級の湯元進一(自衛隊)が優勝し、稲葉泰弘(警視庁)が2位という結果を出していた。「湯元さんや稲葉さんを倒せば、自分がその位置にいけると思うと、刺激になります。日本代表争いに加わりたい」ときっぱり。同級の闘いが激しく燃えそうだ。


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