長谷川恒平(福一漁業)が金メダル、2選手が銅…「ニコラ・ペトロフ&ダン・コロフ」国際大会第1日【2009年2月15日】



 【バルナ(ブルガリア)発】欧州遠征中の男子両スタイルの全日本チームが参加した「ニコラ・ペトロフ国際大会」(男子グレコローマン)と「ダン・コロフ国際大会」(男子フリースタイル・女子)は2月14日、ブルガリア・バルナで開幕。男子グレコローマン4階級、男子フリースタイル3階級などが行われ、グレコローマン55kg級の長谷川恒平(福一漁業=右写真)が決勝で北京五輪8位のベネリン・ベンコフ(ブルガリア)を2−0で下し、国際大会初の優勝を飾った。

 他に、グレコローマン120kg級の中村淳志(カンサイ=下の左写真)とフリースタイル60kg級の前田翔吾(日体大=下の右写真)が銅メダルを獲得した。

 長谷川は初戦で、2年連続世界ジュニア王者で北京五輪の代表取った(国内予選で敗れて出場できず)アレクサンダー・コスタディノフ(ブルガリア)を下し、2回戦で国内のライバル、峯村亮(神奈川大職)に辛勝。準決勝で昨年のアフリカ王者のハサン・モスタファ(エジプト)を下し、決勝へ進んだ。

 中村は初戦でブルガリア選手にそり投げでフォール負けを喫したものの、組み合わせの関係で3位決定戦へ。モミチ・ディミトロフ(ブルガリア)相手に積極的に攻め、相手の負傷棄権をさそって銅メダルを取った。グレコローマン120kg級の国際大会でのメダル獲得は、昨年のアジア選手権で新庄寛和(自衛隊)が銅メダルを取っているが、冬の全日本チームの遠征では初めて。

 前田は初戦で大館信也(自衛隊)を下したあと、2回戦で世界ジュニア選手権3位のムハメド・デミール(トルコ)に黒星。しかし敗者復活戦を勝ち、3位決定戦でマシュー・バレンティ(米国)を下し、初の全日本遠征でメダルを獲得した。

 他に、フリースタイル74kg級の長島和幸(クリナップ)が3位決定戦に進んだだが、敗れて5位に終わった。

 各選手の成績は下記の通り。


 ◎「ニコラ・ペトロフ国際大会」(男子グレコローマン)

 【55kg級】長谷川恒平(福一漁業)      優勝=10選手出場

1回戦 ○[2−1(0-3,2-7,3-0)]Alexandar Kostadinov(ブルガリア)

 《経過》第1ピリオドのスタンド戦は0−0。グラウンドの防御となった長谷川はフライングで2点を失った。さらにリフトで投げられて1失点。第2ピリオドは長谷川が一本背負いで2点を取ったものの、もつれて場外へ出されて2−1へ。もう一度3点となる一本背負いを決めたが、これもバックを取られ5−2へ。グラウンドの攻撃となり、ガッツレンチで2点を加えた。

 第3ピリオドはスタンド戦が0−0。第1・2ピリオドの内容で長谷川がグラウンドの攻撃権を取り、ガッツレンチで1−0へ。スタンドとなったあと、相手の逆転を狙ったそり投げを押さえこみ、3−0として勝った。

2回戦 ○[2−1(1-0,0-1,1-0)]峯村亮(神奈川大職)

 《経過》第1〜3ピリオド、すべてスタンド戦は0−0。グラウンドの攻撃は、第1ピリオドは峯村が攻めたが無得点で長谷川の勝ち、第2ピリオドは長谷川が攻めたが無得点で峯村の勝ち。

 第3ピリオドのグラウンドはボールピックアップによって長谷川に選択権。長谷川は防御を選び、30秒間こらえて1点を取り、辛勝した。、

【1回戦】第3P、長谷川(青)のガッツレンチが決まり1−0へ。 【1回戦】第3P、相手の捨て身のそり投げを押さえこむ。 【2回戦】全日本選手権決勝のカードが実現。青が長谷川。 【2回戦】一進一退の攻防で、お互いに技術点はなし。

準決勝 ○[2−0(2-0,1-0)]Mostafa Hassan(エジプト) 

 《経過》第1ピリオド、激しいスタンド戦の末に長谷川がバックを取って1−0。相手からのチャレンジ(ビデオチェック要求)があったが、判定は覆らずに2−0へ。第2ピリオドのスタンド戦は0−0。グラウンドの防御の長谷川が30秒を守って1−0で勝利。

【準決勝】第1P、長谷川(青)がバックを取って1点を先制。 【準決勝】意外に強かったアフリカ王者。接戦で長谷川が勝つ。

決 勝 ○[2−0(1-0,2-0)]Venelin Venkov(ブルガリア) 

 《経過》第1ピリオドのスタンド戦は0−0。グラウンドの防御となった長谷川は、相手のがぶり返しをこらえてバックを取り、1−0でこのピリオドを取った。第2ピリオドもスタンドは0−0。グラウンドの攻撃とあった長谷川は、ガッツレンチを決めて2点を取り、試合を決めた。

【決勝】金メダルをかけて北京五輪8位と闘う長谷川(青)。 【決勝】第1Pのグラウンド、がぶり返しを必死にこらえた。 【決勝】第2Pのグラウンド、ガッツレンチで貴重な1点。 【決勝】見事に金メダルを取り、選手席にVサイン。

 【55kg級】峯村亮(神奈川大職)       10選手出場

1回戦 ○[2−0(2-0,2-0)]Benbrih Billel(アルジェリア)

 《経過》第1ピリオドのスタンド戦は0−0。峯村のグラウンド攻撃となり、ガッツレンチで2点を取ってこのピリオドを先取。第2ピリオドは峯村がタックルで1点を選手。グラウンドの攻撃でもガッツレンチを決めて2−0とした。

2回戦 ●[1−2(0-1,1-0,0-1)]長谷川恒平(福一漁業)

 《経過》=長谷川の項、参照

敗者復活戦 ●[0−2(0-3,0-1)]Alexandar Kostadinov(ブルガリア)

 《経過》第1ピリオド、スタンド戦は0−0。グラウンドの防御となった峯村はリフトを防げずに3失点。0−3でこのピリオドを落とした。第2ピリオドは50秒に胴タックルを決められて1失点。グラウンドの防御となり、守り切ったもののルールでポイントにはならず、0−1で敗れた。

【1回戦】初戦はアルジェリア。慎重に攻めた峯村(赤)。 【1回戦】第1Pに続き、第2Pもガッツレンチを決めた。 【敗復戦】第1Pのグラウンド、リフトで上げられた峯村(青)。 【敗復戦】必死に食らいついたが、0−2で敗れる。

 【66kg級】藤村義(自衛隊)        12位=20選手出場

1回戦 ●[1−2(TF0-6=1:59,2-0,0-2)]Osman Kose(トルコ)

 《経過》第1ピリオド、スタンド戦でタックルを決められ藤村が1失点。グラウンドは防御となり、がぶり返しを2度受けてしまって0−5。立ち上がったところを場外に押し出されて0−6へ。第2ピリオドは0−0でスタンド戦終了。藤村ばノーマルパーテールでグラウンドの攻撃を開始し、ガッツレンチで2−0として勝利。
 
 第3ピリオドもスタンド戦は0−0で終了。第1・2ピリオドの内容差で藤村の防御となり、がぶり返しを決められて痛恨の2失点。0−2で敗れた。

【1回戦】第2Pのグラウンド、藤村(赤)がガッツレンチで2点を奪取。 【1回戦】スタンドはほぼ互角。がぶり返しが勝敗を分けた。

 【66kg級】清水博之(自衛隊)        8位=20選手出場

1回戦 ○[2−0(3-0,2-1)]Christpher Fisher(米国)

 《経過》第1ピリオド、スタンド戦は0−0。グラウンドは清水の攻撃権となり、クロス・ボディ・ロックから俵返し狙い。相手が足を使って防ぎ、警告で清水に2点。ここで相手がチャレンジ(ビデオチェック要求)したが、認められずに清水が1点をもらった。第2ピリオドは清水が一本背負いで1−0。グラウンドの攻撃権を取り、ガッツレンチで1点を加えたが、体を入れ替えられて1失点。しかし2−1のまま終了のブザーを聞いた。

2回戦 ●[1−2(0-1,1-0,0-1)]Migran Arutyunyan(ロシア)

 《経過》第1〜3ピリオド、スタンド戦はすべて0−0。第1ピリオドはグラウンドを守り切ったロシアが、第2ピリオドはグラウンドを守り切った清水が取った。第3ピリオドはボールピックアップによってロシアに選択権。防御を取ったため清水が攻めたが、30秒間でポイントを挙げられず、相手に1点が入って惜敗した。

【1回戦】第1P、清水(赤)のリフトを相手は脚で防御。 【1回戦】一本背負いを決めた第2Pも優位に試合を進めた。 【2回戦】一進一退の闘いはお互いに決定力がなく、テクニカルポイントなしのまま清水(赤)の負けが決まった。

 【84kg級】斎川哲克(両毛ヤクルト販売)       8位=14選手出場

1回戦 ○[2−0(3-0,3-0)]Danierl Kardashliev(ブルガリア)

 《経過》第1ピリオドの中盤、斎川が一本背負いで3点を先取。グラウンドの攻撃ではポイントがなかったが、3−0で勝利。第2ピリオドのスタンド戦は0−0。グラウンドの攻撃となった斎川は、ガッツレンチを決め、押さえこんで3−0へ。

2回戦 ●[0−2(0-1,0-1)]Ahmed Yildirim(トルコ)

 《経過》第1ピリオドのスタンドは0−0。グラウンドの攻撃となった斎川が攻めたが、無得点で相手に1点。第2ピリオドもスタンドは0−0。今度は相手のグラウンド攻撃となり、ガッツレンチを決められてしまった。

【1回戦】第1P、斎川(赤)の一本背負いが決まった。 【1回戦】その後も落ち着いて闘った斎川が2−0で勝つ。 【2回戦】第1Pは0−0。グラウンドを守り切られて斎川(赤)の負け。 【2回戦】第2P、グラウンドの防御でガッツレンチを受けてしまった。

 【120kg級】中村淳志(カンサイ)       3位=9選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ●[フォール、1P1:12(F1-4)]Petar Bogaevski(ブルガリア)

 《経過》訳の分からないうちに1点を取られた中村だが(警告?)、相手を場外に押し出し1−1。このあと、豪快なそり投げを受けてしまい、そのままフォールされた。

3位決定戦 ○[負傷棄権、2P1:07(2-1,Inj1-0)]Momchi Dimitrov(ブルガリア)

 《経過》第1ピリオド、スタンド戦は0−0。中村がグラウンドの攻撃権となり、ガッツレンチを決めた。体を入れ替えられて1点を失ったが、守り切り2−1でこのピリオドを先制。第2ピリオド、中村はスタンドで前へ前へ出て攻め、テークダウンを取ったかに見えたが、顔をプッシュしたとの反則で0点。しかし、ひるまずに前に出て相手を押し出すと、相手は脚の負傷を訴え棄権した。

【2回戦】スタンドで積極的に攻めた中村(赤)。 【2回戦】組み合ったあと、豪快なそり投げで投げられた。 【三決戦】第1P、グラウンドの攻撃でガッツレンチを決める。 【三決戦】第2Pもスタンド戦で相手に圧力をかけていく。

 ◎「ダン・コロフ国際大会」(男子フリースタイル)

 【60kg級】前田翔吾(日体大)       3位=13選手出場

1回戦 ○[フォール、1P0:16(F2-0)]大館信也(自衛隊)

 《経過》開始早々、前田がタックル。左ひざを痛めていた大館はこらえられず、そのままフォールを決めた。

2回戦 ●[1−2(1-1,2-4,TF0-7)]Muhammed Demir(トルコ)

 《経過》第1ピリオド、1点を先制された前田だが、1分42秒にタックルで1−1とし、ラストポイントでこのピリオドを先取。第2ピリオドは前田のタックルがもつれて2点を取られたが、すぐにバックを取り返して1点を返す。このあと、がぶり返し。2点が入ったかに思えたが、相手の2点となってしまい、1−4とされた。

 第3ピリオドは組まれた状態から倒されてニアフォールの体勢に追い込まれた。こらえてブレークとなったものの、がぶり返しを受けてしまい、0−7のテクニカルフォールとされた。

【1回戦】日本人対決。前田(赤)のタックルが大館をとらえる。 【1回戦】痛めていた左ひざを痛めた大館。無理をせず試合を終えた。 【2回戦】第2P、がぶって攻撃機をうかがう前田(赤)。 【2回戦】タックルに行ったが、ポイントにつなげられず。

敗者復活戦 ○[2−0(1-0,4-1)]Kisiel Radoslaw(ポーランド)

 《経過》第1ピリオド、前田が片足タックルで1点。その後も攻めたが、決定力に欠けポイントにはつなげられない。しかし1−0でこのピリオドを取った。第2ピリオド、前田がタックルで先制し、25秒の段階で3−0へ。さらに1点を加え、終盤に1点を失ったが4−1で勝った。

3位決定戦 ○[2−1(0-2,5-2,4-0)]Mattew Valenti(米国)

 《経過》第1ピリオド、一進一退のあと、もつれて相手に1点が入り0−1。その後も1点を取られる。第2ピリオドも場外へ出されるなどして0−2と劣勢だった。しかし58秒にタックルで1点を返し、その後も相手の攻撃にスイッチで反撃し2−2。すぐに横崩しを決めて押さえこみ、5−2としてこのピリオドを取った。

 第3ピリオド、前半にタックルとガッツレンチを決めて3−0。さらにバックを取って1点を加え、そのスコアで振り切った。

【敗復戦】第2Pも前田(青)がタックルで先制。 【敗復戦】積極的に攻め、相手の攻撃をしっかり守った。 【三決戦】第2P、相手のタックルをしっかり切る前田(赤)。 【三決戦】第2P、2−2に追いついたあと、グラウンドで攻撃。 【三決戦】第3P、前半にタックルを決め試合の流れをつかむ。

 【60kg級】大館信也(自衛隊)       13位=13選手出場

1回戦 ●[フォール、1P0:16(F0-2)]前田翔吾(日体大)

 《経過》=前田の項参照


 【74kg級】長島和幸(クリナップ)       5位=14選手出場

1回戦 ○[2−0(1-1,TF6-0=1:03)]Mohamed Zakaria(エジプト)

 《経過》第1ピリオドの中盤、タックルを仕掛けた長島が場外に出されて1失点。しかし終了間際、飛行機投げ。これはポイントにつながらなかったが、そのまま粘り強く攻め、ラスト1秒でテークダウンを奪い1−1へ。ラストポイントで勝った。第2ピリオドは前半、飛行機投げから押さえこみ4−0。フォールに持ち込めなかったが、すぐにアンクルホールド2回転で6−0とした。

2回戦 ○[2−0(3-0=2:03,1-0)]萱森浩輝(新潟・新潟県央工高教)

 《経過》第1ピリオドは2分間を0−0で終了。長島がクリンチからの攻撃を確実に決めた。第2ピリオドは中盤、萱森のタックルをしのいだ長島がタックルを決めて1点。このポイントを守り切った。

【1回戦】第1P、劣勢の長島(青)は最後に飛行機投げで逆転。 【1回戦】第2P、アンクルホールドでTフォールを決める。 【2回戦】日本人対決。第1Pは0−0のあと長島(赤)がクリンチで勝つ。 【2回戦】第2Pは長島がタックルで1点。これを守った。

準決勝 ●[0−2(0-3,0-1)]Krystian Brzozowski(ポーランド)

 《経過》第1ピリオド前半、長島は片足タックルを受けてしまい、外へ出されて1失点。終了間際に逆転を狙ったがぶり返しを仕掛けたが、乗られてしまって0−3へ。第2ピリオド、前半にバックを取られて1失点。反撃を試みたが、ポイントを取ることができなかった。

3位決定戦 ●[0−2(TF0-7=1:56,3-3)]Ivan Deliverski(ブルガリア)

 《経過》第1ピリオド、脚を取られて倒された長島がそのままフォールの体勢へ追い込まれた。辛うじて逃げ、立ち上がったが体勢を立て直す前にもう一度テークダウンを奪われ、押さえこまれて0−7とされた。第2ピリオドは回り込んで1点を先制。しかしガッツレンチが崩れて両者2点。終盤にタックルを極められて3−3となり、ラストポイントで敗れてしまった。

【準決勝】第1P開始早々、片足を取られて場外に出された長島(赤)。 【準決勝】第1P、タックルを受けてがぶり返しを狙ったが失敗。 【三決戦】第1P、タックルから一気にフォールを狙われた長島(青)。 【三決戦】第2P、ガッツレンチを仕掛けたが、両者2点へ。

 【74kg級】萱森浩輝(新潟・新潟県央工高教)    14選手出場

1回戦 ○[2−1(1-0,0-1=2:08,2-0)]Cernean Ion(ルーマニア)

 《経過》第1ピリオドの後半、萱森が相手の左脚にしつこくタックルを決めて1点。これを守った。第2ピリオドは0−0のあと、クリンチの防御となってしまい、守れなかった。

 第3ピリオドは27秒にうまく回り込んで1点を獲得。相手のタックルをかわして1点を加え、2−0とした。

2回戦 ●[0−2(0-3=2:03,0-1)]長島和幸(クリナップ)

 《経過》=長島の項参照

【1回戦】第1P、萱森(赤)は相手の片脚をとってしつこく攻めた。 【1回戦】ピリオドスコア1−1のあとの第3Pは着実な攻めを見せた。

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