稲葉泰弘(警視庁)が金メダル、2選手が銅メダル…「ニコラ・ペトロフ&ダン・コロフ国際大会」最終日【2009年2月16日】



 男子グレコローマンの「ニコラ・ペトロフ国際大会」、男子フリースタイル・女子の「ダン・コロフ国際大会」最終日は2月15日、ブルガリア・バルナで行われ、フリースタイル55kg級の稲葉泰弘(警視庁)が、湯元進一(自衛隊)との日本人対決を制し、準決勝で2007年世界2位のナランバータル・バヤラー(モンゴル)を破るなどして4試合に勝ち優勝した。決勝は昨年のパンアメリカン選手権3位のジョン・ピネダ(カナダ)を破った。稲葉の国際大会優勝は、昨年の世界学生選手権以来。

 稲葉に敗れた湯元は敗者復活戦を勝ち上がり、3位決定戦で2007年世界2位のナランバータル・バヤラー(モンゴル)を破って銅メダルを獲得。前週の「ヤシャ・ドク国際大会」(トルコ)に続き、この階級は2人ともメダルを取った(右写真:優勝した稲葉=左=と3位の湯元)

 グレコローマンでは74kg級の鶴巻宰(自衛隊)は3位決定戦でルーマニア選手を破り、銅メダルを獲得した(左写真)

 この日で全階級が終了。日本チームはグレコローマン、フリースタイルとも「金1・銅2」を取った。大会の外国選手MVPに、「ニコラ・ペトロフ国際大会」は前日優勝したグレコローマン55kg級の長谷川恒平(福一漁業)が、「ダン・コロフ国際大会」は稲葉が、それぞれ受賞した。

 日本は参加していなかったが、女子では72kg級で世界V3のスタンカ・ズラテバ(ブルガリア)が優勝した。

 各選手の成績は下記の通り。


 ◎「ニコラ・ペトロフ国際大会」(男子グレコローマン)

 【60kg級】佐藤亮太(日体大)      7位=17選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[2−1(0-5,1-0,2-0)]Sezai Shipal(トルコ)

 《経過》第1ピリオド、四つ組みから佐藤が倒されて3失点。ガッツレンチで回されて0−5。グラウンドの防御は守ったが、このピリオドを落とした。第2ピリオドのスタンドは0−0。佐藤がグラウンドの防御となり、30秒間を守り切ってピリオドスコア1−1へ。

 第3ピリオド、四つに組んだあと佐藤が相手を場外へ出して1点。1分20秒にもタックルを決めて2−0。グラウンドの攻撃で無得点だったが、反撃も許さずに2−0でこのピリオドを取った。

3回戦 ●[1−2(1-2,2-1,1-2)]Banseojan Edward(ポーランド)

 《経過》第1ピリオドのスタンドは0−0。グラウンドで先に攻めた佐藤はがぶり返し。判定は相手の2点となり、日本陣営はチャレンジ(ビデオチェック要求)。その結果、佐藤に1点が認められたものの、相手に2点となり、勝敗に変化はなし(注=相手に1点は入らなかったもよう)。第2ピリオドは佐藤ががぶったところをタックルに決められ1失点。グラウンドの防御となった佐藤は、立ち上がって体を入れ替え、バックを取って1点。相手はチャレンジしたが却下され、佐藤に1点が入って2−1へ。

 第3ピリオド、佐藤はタックルを受けてしまって1失点。相手のそり投げに体をあずけて反撃したが、両者1点で1−2。グラウンドの守りとなった佐藤は、必死に立ち上がったが、かなわなかった。

【2回戦第3P】勝負のピリオド、1点を取って必死に攻めた佐藤(青)。 【2回戦第3P】グラウンドの攻撃は無得点だったが、試合に勝つ。 【3回戦第2P】がぶった佐藤(赤)だが、持ち上げられた。 【3回戦第2P】相手のそり投げ失敗を押さえこもうとしたが…。

 【60kg級】谷岡泰幸(自衛隊)     13位=17選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ●[2−1(0-3,1-0,TF2-6=1:44)]Emil Milev(ブルガリア)

 《経過》第1ピリオド、谷岡に脚を使ったアクションがあったとされ警告で1失点。グラウンドの防御となった谷岡はフライングを取られ、2度目の警告を受けて0−3へ。第2ピリオドのスタンド戦は0−0。グラウンドの攻撃となった谷岡がガッツレンチを決め、1−0でこのピリオドを取った。

 第3ピリオドはもつれあと、谷岡が倒された形となって3失点。すぐに返して2−3とした。グラウンドの防御となった谷岡は、立ち上がったものの、その直後に背中からマットに落とされ3失点。2度の3点によってテクニカルフォール負けとなった。

【2回戦第2P】第1Pを取られた谷岡(赤)は必死の反撃。 【1回戦第3P】谷岡は四つ組みで勝負をかけたが、倒された。

 【74kg級】鶴巻宰(自衛隊)      3位=19選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[2−1(0-1,1-0,1-0)]金久保武大(日体大) 

 《経過》第1〜3ピリオドともスタンド戦は0−0。第1ピリオドは金久保が、第2ピリオドは鶴巻がそれぞれグラウンドを守り切って、ピリオドスコアは1−1。第3ピリオドのグラウンドはボールピックアップによって鶴巻に選択権。鶴巻は防御を選択し、30秒を守り切って1点を獲得。辛勝した。

3回戦 ○[2−0(1-0,3-0)]Andy Bisek(米国)

 《経過》第1ピリオドのスタンドは0−0。グラウンドの防御となった鶴巻が30秒を守り切り、1−0で勝利。第2ピリオドもスタンドは0−0。グラウンドの攻撃となった鶴巻はガッツレンチを決め、立ち上がった相手を場外に出して3−0とした。

【2回戦】初戦で日本人対決となってしまった。鶴巻(赤)と金久保(青)が1点をめぐって激しい攻防を展開。 【3回戦第1P】相手のバック投げをこらえた鶴巻(青)。 【3回戦第2P】スタンドで攻めた鶴巻だが、勝負はグラウンドへ。

準決勝 ●[1−2(2-0,0-2,0-2)]Sheref Tufeng(トルコ)

 《経過》第1、2ピリオドのスタンドはともに0−0。第1ピリオドは攻撃の鶴巻がガッツレンチを決め、第2ピリオドはその逆でピリオドスコア1−1。

 第3ピリオドはスタンドの中盤に鶴巻が技術回避の警告を受けて痛恨の1失点。さらに場外へ押し出されて1失点。グラウンドの防御になったが、下からでは反撃できなかった。

【準決勝第1P】ガッツレンチを決め、さらに攻める鶴巻(赤)。 【準決勝第3P】勝利を目指して攻めた鶴巻だが…。

3位決定戦 ○[2−0(5-2,1-0)]Ionel Puscasu(ルーマニア) 

 《経過》第1ピリオド、1分25秒すぎに鶴巻が一本背負い。すぐにバックに回られ3−1。相手はチャレンジ(ビデオチェック要求)したが、判定は変わらず、鶴巻が1点を追加。グラウンドの攻撃となった鶴巻だが、相手に立たれてしまい、バックを取られて4−2。リフトを狙われたが、相手の足が場外に出て鶴巻に1点。5−2でこのピリオドを先制。第2ピリオドのスタンドは0−0。グラウンドの防御となった鶴巻が30秒を守り切り、1−0で勝った。

【三決戦第1P】鶴巻(青)が一本背負いを決める。 【三決戦第2P】銅メダルを目指した必死の闘いが続いた。

 【74kg級】金久保武大(日体大)       14位=19選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ●[1−2(1-0,0-1,0-1)]鶴巻宰(自衛隊) 

 《経過》=鶴巻の項、参照


 【96kg級】北村克哉(FEG)       13位=17選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ●[0−2(0-1,0-2)]Serkan Ozden(トルコ)

 《経過》第1ピリオドのスタンド戦0−0。グラウンドの攻撃となった北村だが、ポイントを取れず、相手に1点が入った。第2ピリオドもスタンド戦は0−0。グラウンドの防御となった北村は、ガッツレンチを受けてしまい1失点。立ち上がったあと、場外に出されて0−2とされた。

敗者復活戦 ●[1−2(0-2,1-0,0-3)]Konstantin Efimov(ロシア)

 《経過》第1〜3ピリオドともスタンド戦は0−0。第1ピリオドは北村のグラウンド攻撃となり、クロス・ボディ・ロックでリフトを狙ったが立たれてしまい、そり投げを狙ったが失敗して2失点。第2ピリオドのグラウンドは北村が30秒守り、1−0で勝利。

 第3ピリオドはボールピックアップとなり、北村に選択権。防御を取って守ったが、クロス・ボディ・ロックからのリフトを受けてしまい、痛恨の3失点。勝利を逃した。

【2回戦第1P】スタンド戦で引けをとらなかった北村(赤)。 【2回戦第2P】守らねばならないケースでガッツレンチを防げず。 【敗復戦第1P】やはりスタンドでは互角に渡り合った北村(赤)。 【敗復戦第3P】防御でリフトを受けてしまい、万事休す。

 ◎「ダン・コロフ国際大会」(男子フリースタイル)

 【55kg級】稲葉泰弘(警視庁)       優勝=18選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[フォール、2P1:02(3-0,F5-0)]Krum Chuchurov(ブルガリア)

 《経過》第1ピリオド、一進一退のあと稲葉が外無双で3点を獲得。3−0で勝った。第2ピリオドは、組みあって稲葉が圧力をかけ相手の足が場外に出て1点。腕を取ってフォールの体勢へ持ち込み、そのままフォールした。

3回戦 ○[2−1(2-0,1-2,3-1)]湯元進一(自衛隊)

 《経過》第1ピリオド後半、湯元が技術回避による警告を取られ、稲葉が1点。稲葉が湯元を場外に出して2−0とした。第2ピリオド、今度は稲葉が技術回避の警告を取られて湯元が1点。1分35秒にも1点を挙げた。湯元は終了4秒前に攻められてバックを取られたが、2−1で勝った。

 第3ピリオド、序盤に稲葉の内またが決まって3点。1分43秒に湯元が片足タックルで1点を返したが、追いつかず、稲葉が3−1で勝った。

【2回戦第1P】初戦ということで、やや慎重な攻めだった稲葉(赤)。 【2回戦第2P】バックを取ったあと、腕を取ってフォールへ。 【3回戦第1P】前週に続いて実現した稲葉(赤)と湯元の一戦。 【3回戦第2P】1点をめぐる緊迫した闘いが続いた。

準決勝 ○[2−1(3-0,4-4,3-2)]Naranbaata Bayara(モンゴル)

 《経過》第1ピリオド、稲葉が1点ずつ3度取り、3−0で勝利。第2ピリオドは稲葉の首投げが崩れ、相手がガッツレンチに移行して2点を2度取られた。稲葉が1ポイントずつ追い上げ、4−4としたが、ビッグポイントの差で、ピリオドスコアは1−1へ。

【準決勝第1P】2007年世界2位を場外に押し出した稲葉(青)。 【準決勝第1P】稲葉は常に積極的に攻めた。

決勝 ○[2−0(1-1,3-0)]John Pineda(カナダ)

 《経過》第1ピリオド中盤、稲葉はくぐりタックルを受けてしまい0−1。しかしラスト30秒、片足首へのタックルで1点を返し、ラストポイントでこのピリオドを取った。第2ピリオドは片脚を取られながらも、相手を場外に出して1点を先制。36秒、1分30秒にも1点を取り、3−0とした。

【決勝第1P】1点を追って攻撃を続けた稲葉(青)。 【決勝第2P】片脚を取られながらも、相手を場外に出した。 【決勝第2P】2−0のあとも積極的に攻めた。 【決勝第2P】優勝を決め、日本選手団に一番ポーズ。

 【55kg級】湯元進一(自衛隊)       3位=18選手出場

1回戦 ○[2−0(5-0,TF8-0=0:47)]Wild Urs(スイス)

 《経過》第1ピリオド、湯元が相手の右脚を取って外へ出して1点を先制。タックル、アンクルホールド、回り込みとポイントを重ねて5−0。第2ピリオドは引き落としてバックを取り、ガッツレンチを3回転決めて7−0とした。

2回戦 ○[フォール、1P0:53(F4-0)] Chergui Ammar(アルジェリア)

 《経過》第1ピリオド、バックを取った湯元は腕を取って返し、フォールを決めた。

3回戦 ●[1−2(0-2,2-1,1-3)]稲葉泰弘(警視庁)

 《経過》=稲葉の項、参照

【1回戦第1P】アンクルホールドで差を広げた湯元(赤)。 【1回戦第2P】バックを取ってガッツレンチ3回転。 【2回戦第1P】相手の攻撃をしっかり受け止めた湯元(赤)。 【2回戦第1P】バックを取ったあと、腕を取ってフォールへ。

敗者復活戦 ○[フォール、2P0:58(5-1,F5-0)]Krum Chuchurov(ブルガリア)

 《経過》第1ピリオド、湯元は開始13秒で1点を取られたが、1分23秒にバックを取って1−1。グラウンドで攻めて5−1とした。第2ピリオドは湯本が序盤に1点を取り、さらに首投げ。そのままフォール勝ち。

3位決定戦 ○[2−1(1-0=2:03,0-2=2:05,1-0)]Naranbaata Bayara(モンゴル)

 《経過》第1・2ピリオドとも0−0で2分間を終了。第1ピリオドは湯元が、第2ピリオドはモンゴルが、それぞれクリンチを確実に決めた。

 第3ピリオドも一進一退の攻防となり、1分40秒すぎに湯元がタックルを決め、貴重な1点を取った。

【敗復戦第2P】序盤にタックルで1点先取の湯元(青)。 【敗復戦第2P】タックルからがっちり固め、フォールを決めた。 【三決戦第1P】開始から積極的に攻めたが、決定力に欠けた。 【三決戦第3P】0−0のあと、終盤に湯元がタックルを決める。

 【66kg級】米満達弘(拓大)       9位=23選手出場

1回戦 ○[2−0(1-0,TF6-0=0:31)]Nikolay Kurtev(ブルガリア)

 《経過》第1ピリオド、米満がくぐりタックルで1点を先制。後半、片脚を取られて窮地に陥ったが、辛うじてこらえ1−0で終了。第2ピリオドは豪快な3点タックルのあと、くぐってタックル。相手は背中からマットに落ち、2点かと思われたが3点が入り、テクニカルフォール勝ち。

2回戦 ●[0−2(0-1=0:08,1-1)]Muhammed Ilkan(トルコ)

 《経過》第1ピリオドは0−0。クリンチの防御となった米満は防ぐことができずに1失点。第2ピリオドは片足タックル。相手も粘ったが米満もしつこく攻めて1点。しかし後半、不可解な警告(技術回避)を取られ1−1。ラストポイントによって敗れた。

【1回戦第2P】豪快な3点タックルを決めた米満(赤)。 【1回戦第2P】3−0としたあと、なおも攻撃する米満。 【2回戦第1P】相手の攻撃を必死に防ぐ米満(青)。 【2回戦第2P】片脚タックルからしつこく攻めた米満。

 【66kg級】森川一樹(山梨学院大)       13位=23選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[2−1(0-3,1-0,3-0)]Christopher Prickett(カナダ)

 《経過》第1ピリオド、森川が40秒にタックルで1点を取られ、ガッツレンチで回されて0−3。第2ピリオドは1分34秒に森川が回り込んでバックを取り、1−0で勝った。

 第3ピリオド、中盤に森川の圧力で相手が苦しまぎれに投げを打って失敗。森川が1点を先制し、アンクルホールドで1点を追加。1分30秒にも相手を押し出し、3−0とした。

3回戦 ●[不戦敗]Haislan Garcia(カナダ)

 《経過》首を痛めていた森川が、大事をとって棄権した。

敗者復活戦 ●[不戦杯]Kiril Sheytanov(ブルガリア)

【2回戦第2P】ラスト30秒、森川(青)が貴重な1点をゲット。 【2回戦第3P】1点を取った森川はアンクルホールドで追加ポイント。

《iモード=前ページへ戻る》
《前ページへ戻る》