【特集】国際大会6個目の銅メダルには満足できず…グレコ74kg級・鶴巻宰(自衛隊)【2009年2月17日】



 初日に最軽量級と最重量級でメダルを取ったグレコローマン・チーム。最終日はちょうど真ん中の74kg級・鶴巻宰(自衛隊=右写真)が銅メダルを取った。しかし「3位ではうれしくない」と笑顔はなし。これまで2004年のアジア・ジュニア選手権に始まり、05年アジア選手権、同年ユニバーシアード、06年ニコラ・ペトロフ国際大会、2008年ゴールデンGP決勝大会と国際大会で5個の銅メダルを取っており、銅メダルでは満足できないのも、もっともだろう。

 初戦で日本人対決となり、やりにくさを乗り越えて勝利。続く試合に勝ったが、準決勝でトルコ選手に1−0から1−2と逆転負け。第2ピリオドのグラウンドを守れば勝てた試合。しかしガッツレンチを受けてしまい、目の前にあった勝利を逃してしまった。

 「勝てたと思って気がゆるんでしまった。自分の甘さです。ダメなところです」と自己を厳しく非難。第3ピリオドに踏ん張ればよかったが、とばしすぎてスタミナが切れてしまったという。

 実は最終日の試合前、審判団には「消極性に対するコーション(警告)をしっかり取るように」との通達がなされていた。「攻撃しなければコーションを取られる」という思いがオーバーペースにつながり、1分30秒に伸びたスタンド戦の終盤に影響したという。

 実際に、1分すぎに技術回避の警告で1点を失ったのだから(左写真)、ペース配分のミスだったと言えるだろう。どの選手も条件は同じだが、スタンドが1分から1分30秒に伸びた影響をもろに受けた試合。「実際に試合をやってみて、1分と1分30秒では大きく違った。1分30秒でもばてないスタミナつくりが必要です」という。

 また、スタンドで1点を取りさえすれば、勝利が見えてくるルールであることも痛感した。「スタンドの強化が今後の課題ですね」と言う。グラウンドでは、従来のクロス・ボディ・ロックではなく、ノーマル・パーテールポジションからのスタートなら、30秒あればガッツレンチを必ず返せそうな感触もあった。

 「ノーマル・パーテールポジションからの攻撃を研究してみたい」。実際に闘ってみてこそ分かるルールの違いによる闘いの違いも体感し、銅メダル獲得以上に意義のある大会出場となったようだ。

 「なぜか決勝進出の壁が破れません。そろそろ優勝しないとダメですね。『銅メダル・コレクター』なんて言われるのは嫌ですよ」。つくり笑いを見せながらも、目は真剣。「金メダル・コレクター」を目指した闘いが続く。


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