【特集】少年工科学校の監督・コーチや米軍選手が活躍…全自衛隊大会【2009年3月3日】



 ○…66kg級で優勝したのは少年工科学校の勝目力也監督(右写真)。かつて全日本学生王者に輝き、体育学校で汗を流した名選手だ。1月の全日本マスターズ選手権にも出場して優勝しているが、この時に腰を痛め、その後はあまり練習ができなかった。この大会で再発。決勝戦ではかなり痛み、時に顔を引きつらせもしたが地力を発揮して優勝した。

 今月いっぱいで防衛大学に転任することになり、少年工科学校の監督としては教え子の前で最後のファイトになるという。「精いっぱい闘うところを見せたかった」と気力を振り絞っての闘いだった。「選手たちはどう感じてくれるかな。久しぶりに一生懸命にやりました」と話す。

 35歳になっても、なおかつ自分の限界に挑むのには、もうひとつ理由がある。8月に予定されている世界マスターズ選手権(トルコ)に、同期の関川博紀選手(新潟・新潟東高教=元全日本王者で今年の全日本マスターズ選手権60kg級優勝)とともに出場する予定だからだ。「その前哨戦という感じで闘いました」。2大会連続優勝で順調な滑り出しとなり、今夏は熱く燃えることになりそう。最後に「生涯レスリングに携わっていきたい」−。


 ○…勝目力也監督からバトンを引き継いで少年工科学校を率いることになる斎藤柔・同校コーチも74kg級で見事に優勝。MVPに輝いた。「生徒の手前、頑張る姿を見せないとならなかった。いい見本になったかな」と安堵の表情を浮かべた(左写真)

 勝目監督と違い、こちらは昨年も神奈川県代表として国体に出場した“現役選手”。今年は出身の新潟で国体が行われるので、「最後になるかもしれませんが、ぜひ出たい」と考えており、実力をアピールする必要もあった。

 4月からは監督として新たな闘いが待っている。「一人で指導するわけじゃない。田村部長(茂一=元全日本王者)もいるし、協力してもらって頑張りたい。やはりインターハイに出られるチームを育てないと」。故郷での国体で燃えるとともに、新たな挑戦が始まる2009年だ。


 ○…7人が出場した米軍選手。米国のカレッジスタイルに慣れているせいか、フリースタイルでは力を発揮できない選手が多い中、84kg級のピーター・ヒューズ選手(佐世保=右写真)が優勝し、優秀選手賞を受賞した。

 「この大会に出るためにハードな練習をしてきた。こうして優勝でき、本当によかった」。この試合を応援するため、父のヒューズ・シニアさんがわざわざ米国テキサス州から駆けつけており、父の満足そうな表情を見てニッコリ。

 高校時代にテキサス州の高校チャンピオン(カレッジスタイル)になったことがあるという。他にフリースタイルやグレコローマンにも取り組んでおり、グレコローマンでテキサス州のカデット王者になったこともあるそうだ。「カレッジスタイル以上にフリーやグレコが好きなんだ」と、スタイルの違いに戸惑いがなかったのが勝因か。

 海軍に勤務しているので選手として上を目指せるかどうかは分からないが、「出る試合は常にトップを目指す。全力で闘えることが幸せ」と言う。その延長として、世界選手権や世界軍隊選手権を目指したいという気持ちもちょっぴりあるようだ。

 7月の全日本社会人選手権でも、その勇姿見られるか。


《iモード=前ページへ戻る》
《前ページへ戻る》