【特集】課題はチャンレンジャー精神! 2年連続高校五冠王を目指す北村公平(京都・京都八幡)【2009年3月30日】



 風間杯全国高校選抜大会の個人戦74s級では、昨年高校五冠王の北村公平(京都・京都八幡)が2連覇を達成した(左写真=決勝で闘う北村)。昨年は学校対抗戦・個人ともに優勝している北村だが、今回チームは京都予選で新鋭の海洋(京都)に屈指、団体V2の夢は途絶えてしまった。その分、個人連覇の使命は絶対。だが、そのプレッシャーが北村のレスリングを狂わせる結果となってしまった。
 
 「持ち上げるのがカッコいいから」という信念で、3点タックルへこだわりを見せる北村のスタイルは健在。相手が3点タックルを警戒する中で、今大会も何度も相手を持ち上げた(右写真=準決勝でさく裂した持ち上げタックル)。だが、浅井努監督が「足が止まっていた」と指摘するように、全体的に動きには切れがなく、フェイントの効果が落ちて攻撃が単調に。持ち上げる回数はいつもより少なかった。

 さらに決勝戦の第2ピリオドは得点できず、優勝は不本意なクリンチからの攻撃で決まった。そのためガッツポーズなどはなし。表彰式後は開口一番「うれしくないです。不満が残ってしまった」と複雑な心境を吐露した。本来の動きが取れなかった理由は、冬場に度重なる小さいけががあったため。そのため、大会まで十分な追い込みができなかったからのようだ。

■JOC杯ジュニア選手権で大学選手に挑む!

 北村は昨年、2年生ながら高校五冠王(JOC杯はカデット)に輝いた。日本協会が表彰する年間MVP高校部門は、高校四冠王の井上貴尋(兵庫・育英)に譲ったが、今年の受賞に最も期待がかかっている。同世代間で勝つのは当たり前。浅井監督は「去年より上の目標を持たせているので、硬くなってしまったようです。自分から仕掛けるようなレスリングができてなかった」と、精神的なプレッシャーが裏目に出てしまったと分析。「今日は勝ちだとは思っていない。インターハイで納得いく形で優勝させたい」と出直しを誓った。

 次の試合は4月下旬のJOC杯ジュニアオリンピック。カデットを卒業し、いよいよ大学生たちが控えるジュニアに挑戦する。「大学生が相手になれば、チャレンジャー精神が出てくる」と、北村の表情が変わった。モチベーションは京都府出身の先輩・高谷惣亮(網野高〜拓大)との対戦だ。「高谷選手を持ち上げたい!」。出直しを図るJOC杯で、大学選手たちを手玉に取れるか?

(文・撮影=増渕由気子)


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