【特集】細谷&岡の黄金タッグ誕生! 今年も強い花咲徳栄が2階級制覇!【2009年3月30日】



 昨年、高校レスリング界で台風の目となった創部4年目の花咲徳栄(埼玉)。黄金メンバーが抜けた今年も、その戦力は落ちていなかった。団体戦では、激戦区の近畿大会1位の栗東(滋賀)を破ってベスト8。個人戦でも84s級の細谷翔太朗、120s級の岡倫之が関東高校選抜大会に引き続いて優勝し、初の全国タイトルを手に入れた(右写真:細谷=右=と岡)

 新チームで臨んだ1月の関東高校選抜大会は、霞ヶ浦と2回戦で対戦し2−5で敗れた。そのため、今大会は関東ベスト8の成績で出場。だが、1月に霞ヶ浦相手に2勝した意味は大きかった。白星を挙げて同大会の個人戦でも優勝した84s級の細谷、120s級の岡の2本柱が、今大会でもしっかり機能。近畿王者の栗東を5−2で撃破し、3年前の覇者・秋田商(秋田)には先に3勝を許したが、勝負を細谷、岡の“黄金タッグ”につないで逆転勝利。

 高坂拓也監督の作戦である「今年は120s級勝負」がズバっと決まってベスト8に進出した。昨年、霞ヶ浦に2度勝ち、インターハイで霞ヶ浦を最も苦しめた相手の花咲徳栄。「8月までには霞ヶ浦に追いつくチームを作れるのでは?」の問いに、高坂監督は自信たっぷりの笑顔を見せた。

■昨年王者の菊池に2連勝! 84s級・細谷翔太朗が全国大会初V

 個人戦でも黄金タッグが大活躍した。84s級の細谷は、決勝戦で霞ヶ浦の菊池崚と今季2度目の対決で完勝。「団体戦で優勝できなかったので、個人戦に切り替えてやりました」と気持ちの切り替えが勝因だった。第1ピリオドは、片足タックルで1点を先制し、菊池が強引ながぶり返しを打ったところでを押さえ込んで2点追加。第2ピリオドはバックに付かれて先制を許したが、左からの片足タックルを突破口にして逆転に成功した。

 終盤にがぶられて苦しい体勢になったが、細谷は「ここで点をやったらキツくなる」と言い聞かせて耐えしのいだ。1月に菊池に初勝利を挙げたことで、菊池もリベンジに向けて相当な練習を積んできたのだろう、「菊池は前より強くなっていた」と言う。だが細谷もそれ以上に努力してきた。一番力を入れたのは「組み手とくずし」。次の目標にインターハイで団体と個人でのW優勝を掲げた(左写真=菊池を破って優勝の細谷)

 インターハイ前の6月には関東高校大会が行われる。菊池と細谷の今季3度目の対決は必至。6月では菊池がリベンジに燃えるのか、それとも細谷が3連勝して菊池を突き放すのか。重量級の未来のエース候補同士の勝負が楽しみだ。

■120kg級の岡倫之も初の全国タイトルを獲得

 また、120s級の岡も悲願を達成した。「栗東の村木孝太郎に勝って全国で優勝すること」という目標を掲げて選抜に乗り込んだ岡は、団体戦で大暴れ。2回戦ではインターハイで何もさせてもらえずに完封負けを喫した相手・村木にテクニカルフォールで勝利し、一つ目の目標を達成。

 個人戦でも、順調に勝ち進んで、決勝戦では前川勝利(霞ヶ浦)を投げ技からのローリングで仕留めた。「念願叶いました」と初の全国タイトルに感無量の様子だった(右写真:岡=左と高坂監督)

 終わってみれば、花咲徳栄が個人で2階級を制覇。団体優勝した霞ヶ浦は個人戦でも4階級で決勝に進出したが、花咲徳栄が霞ヶ浦を2人倒して、結局タイトル数は両校ともに2つずつの獲得。細谷は霞ヶ浦の重量級エース・菊池を倒してのタイトルだから、十分に価値のある優勝だ。花咲徳栄VS霞ヶ浦の闘いは、今シーズンも見逃せない!

(文・撮影=増渕由気子)


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