北京五輪の“ビデオ・ライブラリー”が完成…男子両スタイルの全日本合宿がスタート【2009年4月2日】



 男子両スタイルの全日本チームが4月1日、今年度第1回(今年5度目)の合宿をスタート。午後4時から1時間のスパーリング、1時間の技術練習、30分間の補強と休む間なく続け、初日からハイスパートの練習を展開した(右写真)

 所属での練習で手を抜いていたらすぐに分かるようにと、合宿ごとに練習試合や体力測定を行い、年間を通じて厳しい練習を課している“佐藤体制”。その方針が徹底しているようで、初日からマットが水(汗)びたしになるようなハード練習だったが、どの選手も辛そうながらも脱落せずにしっかりとこなすタフネスぶり。前回の合宿終了からの中10日の間にもしっかり練習をこなしていることがうかがえた。今回の合宿は体力測定が2日と3日に行われる。

 佐藤満強化委員長(専大教)は、各選手の合宿間の練習に対する意識の高さの満足そう。「今回は体力測定のほか、スパーリングを多く取り入れる。実戦練習の中から課題を見つけさせ、それの克服に力を入れさせたい」と話した。

 そんな全日本チームに、頼もしい“新兵器”が届けられた。国立スポーツ科学センター(JISS)スポーツ情報研究部の白井克佳さんが、昨年の北京五輪の試合ビデオ200試合をパソコンの中にインプット。リストの中から選んですぐに見られるようにしてくれた。

 従来は、DVDに収録し、それをパソコンにセットしたり、選手に配布したりするやり方だった。これだと目的の試合を探すだけでも大変だが、パソコン上に示されるリストからなら簡単に探し出せる。さらに、例えば55kg級のロシア選手の試合を見たい時は、「55kg RUSSIA」と入力すれば、その試合の一覧表が出てきて、クリックすればすぐに見られる(左写真=北京五輪の“ビデオライブラリー”を見る佐藤強化委員長ら。左端が白井さん)

 もっとすごい進歩は、自分のほしいビデオを簡単に持ち運びのできるiPhone等にダビングできること。これだと、わざわざパソコンを開く必要はなく、移動の最中や部屋のベッドでくつろぎながらででも見ることができる。試合会場で次に闘う相手の試合を探し出し、その闘いぶりを見てからマットに上がることもできる。

 白井さんは北京五輪ではフェンシングを情報面で全面的にサポートしており、太田雄貴選手が銀メダルを取れたのは、白井さんのち密な情報収集のおかげとも言われている。強化委員会の久木留毅テクニカル・ディレクター(専大教)は「レスリング界の大きな力になる。選手はしっかり役立ててほしい。いずれ、大学や高校の選手にも活用してもらう」と話していた。合宿は5日まで。

佐藤強化委員長(手前)伊藤広道コーチ(向こう側)の熱烈指導。 フリースタイル・チームに技術指導する佐藤強化委員長。 グレコローマン・チームに新ルール下での闘い方を指導する伊藤コーチ。
北京五輪の試合DVD。このすべてがパソコンに収められた。 試合を上映するパソコンと、ダビングしたiPhone。持ち運びが簡単になった。 2月の欧州遠征もDVDへ収録。全日本チームのIT化はかなり進んでいる。

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