【全日本女子選手権優勝選手】59kg級・正田絢子(網野ク)【2009年4月6日】



 59s級は昨年12月の天皇杯全日本選手権を欠場した正田絢子(網野クラブ)が優勝、2連覇で通算6度目の優勝を遂げた。北京五輪代表は逃したものの、昨年10月の東京・世界女子選手権で4度目の世界一に輝いた正田。全日本選手権を欠場したことで進退が注目されたが、9月の世界選手権(デンマーク)を目指して59s級にエントリーしてきた。

 「反対ブロックに強い選手が集まっていて、誰が(決勝に)上がってくるのかな、と思った」と話すとおり、第2シードには12月の全日本選手権で優勝し、3月のワールドカップ代表の山名慧(アイシン・エイ・ダブリュ)、第4シードには昨年のアジア選手権3位の梶田瑞華(中京女大)がいた。そのどちらかが、決勝で正田に挑むのが周囲の予想だった。

 だが、正田が決勝で闘った相手は“中京女大組”ではなく、同門の後輩となる伊藤友莉香(京都・網野高〜環太平洋大)だった。この春大学生になったばかりの後輩を相手に、多少の緊張があったのか第1ピリオドの中盤にタックルでテークダウンを奪われてしまった。しかし先輩の意地で終了間際に1ポイントを奪い、第2ピリオドはローリング地獄でテクニカルフォールを収めたが、「(伊藤は)一番やりたくなかった相手でした」と苦笑いした。

 正田が優勝したことで、59s級の世界選手権代表の決定は6月のプレーオフに持ち越されることとなった。過去何度もプレーオフを制して世界選手権代表になっているため、正田は「いつものこと」と落ち着きを見せる。

 レスリング一本の道を歩んできた正田だったが、昨年秋に京都府スペシャリスト特別選考枠の教員採用試験に合格。保健体育の教員免許を取得した。4月からは、今まで練習の拠点としていた京都・網野高の教員としての人生をスタートさせる。プレーオフの唯一の不安を挙げれば、初めて経験する教員とレスリングの両立ができるかどうかくらいか。それ以外に正田に死角はなさそうだ。

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)


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